災害時もつながる携帯 通話回線を強制確保 ドコモなど実用化へ
産経新聞 7月19日(金)7時55分配信
災害時にかかりにくくなる携帯電話の通話回線を確保するため、NTTドコモや電機メーカーなどが共同で、動画視聴やゲームに利用されている回線を強制的に通話に振り分ける技術を平成32年にも実用化することが18日、分かった。大量のデータ通信を抑制して、100万人規模の都市での大規模災害時でも、携帯通話がつながる回数は現状より約5倍増えるとみている。
東日本大震災で被災地の通信が寸断されたことを受け、総務省が民間に技術開発を委託。ドコモ、NEC、富士通、東北大などが取り組んできた。
高速通信「LTE」の通信ネットワークを切り替えることで、通常は混在して送受信されている(1)通話(2)メール(3)動画視聴やゲームなど「リッチメディア」−の構成比率を変更。災害時にはリッチメディアの周波数の利用比率を絞って、余らせた分を通話用に振り分ける。
100万人規模の都市の被災を想定した実験では、音声通話が通常の50倍、メールなどパケット通信が4倍集中したと仮定。通信回線を通話に振り分けない場合、音声通話は毎時225万件のうち実際につながるのは11万件で、20回に1回しかつながらなかった。これに対して、動画やゲームの通信を絞れば、通話は56万件つながり、4回に1回のペースと大幅改善した。
同様の技術は、英ボーダフォンや米AT&Tなど欧米の通信大手も開発中だが、「日本が大きくリード」(総務省)している。ドコモなどの日本勢は、世界各国に開発した技術の導入を提唱しており、24日にドイツで開催される欧州電気通信標準化機構(ETSI)の会合でも、国際標準化を要望する。
最終更新:7月19日(金)11時55分