街灯の40%が故障―財政破綻した米デトロイト市

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  • MIKE CHERNEY

 財政破綻した自動車の町、米ミシガン州デトロイト市は、悲惨な状況に陥っている。同市は、10万以上の債権者に対し、総額180億ドル(約1兆8000億円)の債務を抱え、殺人発生率はほぼ40年ぶりの最悪の水準に達している。

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 デトロイト市は18日、連邦破産法の適用を申請した。米国の地方自治体としては過去最大の財政破綻だ。米国では昨夏、カリフォルニア州のストックトン市とサンバーナーディノ市が、また2011年11月にはアラバマ州ジェファーソン郡が同じく破産法を申請している。

 デトロイト市の緊急財政管理官であるケビン・オー氏が裁判外での債務再編について、市債保有者や年金基金などの債権者から必要な合意を得ることが出来なかったため、同市は破綻に追い込まれた。ウォール・ストリート・ジャーナルは先に、バンク・オブ・アメリカやUBSなどの債権者が同市と再建案について協議中と報じていた。

 ミシガン州のスナイダー知事は、破産法申請を承認するメモで、「デトロイト市は過去60年間衰退を続けてきた」結果、破産を宣言する決定を下さざるを得なくなったと述べた。その上で、「デトロイト市の歴史で最悪の状態にあると多くの人は受け止めるだろう。そうならば、破産法申請は市の将来の基盤にもなる」と訴えた。

 同知事によれば、警察に通報して警官が到着するまでの時間はデトロイト市では58分で、全国平均の11分を大きく上回っている。事件解決率もわずか8.7%で、全国平均の30.5%にはるかに及ばない。同市の街灯の約40%が故障し、稼働している救急車は3分の1に過ぎない。人口はピーク時の63%に減少し、廃墟家屋は約7万8000件に上る。

 スナイダー知事によれば、そのため同市が債務返済のため増税しても、市民は増税分を支払えない状況だという。いずれにせよ、同市の税率は現在、法定上限いっぱいになっている。同知事は、「デトロイト市民は、公共サービスの際限ない低下から脱する明確な道筋を必要としている。公共サービスを維持する唯一の方法は、市の抜本的な組織改革を断行し、返済不可能な債務のくびきから解放されて改革を進めることである」と強調した。

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