米デトロイト財政破綻「市は崩壊」7月19日 12時0分
アメリカの自動車産業を象徴する大都市、中西部のデトロイト市が資金繰りに行き詰まり、18日、アメリカの自治体としては史上最大規模の財政破綻に陥りました。
景気の回復と自動車産業の復活が鮮明となるなかで起きた、かつて繁栄した大都市の破綻はアメリカ社会に大きな衝撃を与えています。
アメリカ中西部に位置するデトロイトは、アメリカ最大手の自動車メーカーGM=ゼネラル・モーターズが本社を構えるなど、アメリカの自動車産業を象徴する大都市として知られています。
しかし、地元の経済を支えてきた自動車産業が長期にわたって衰退し、治安も悪化したことから人口の流出が続き、デトロイト市は税収が大きく落ち込んで慢性的な財政難に陥っていました。
こうした状況を受けてデトロイト市当局は18日、自力での財政再建を断念して、裁判所に連邦破産法9条の適用を申請しました。
負債総額は180億ドル(日本円にして1兆8000億円)を超え、アメリカの自治体の財政破綻としては史上最大となります。
デトロイト市から財政支援の要請を受けていたミシガン州のスナイダー知事は、「財政に持続可能性はなく治安の悪化にも歯止めがかからない現状を踏まえると、デトロイト市は崩壊していると言える。困難でつらい決断だが再生のためにはこの選択肢しかなかった」と述べました。
デトロイト市は今後、裁判所の管理下での再建を目指すことになりますが、金融機関からの借り入れや退職した市の職員の医療や年金に充てる費用などの削減について調整を進めるものとみられます。
景気の回復と自動車産業の復活が鮮明になるなかで起きた大都市の財政破綻は、アメリカ社会に大きな衝撃を与えています。
GM「事業や業績への影響なし」
デトロイト市の財政破綻について、デトロイトに本社を構えるアメリカ最大手の自動車メーカー、GM=ゼネラル・モーターズは、「日々の事業や業績への影響は全くないと考えている。こうした日が来ることを誰も望んでいなかったが、この日がデトロイト市の再生に向けた新たな出発になると信じている。デトロイト市の再生には犠牲が伴うことをすべての当事者に理解してほしい。自動車産業が堅調であることは再生につながると考えており、GMは、これに貢献している」という声明を出しました。
ホワイトハウス「大統領は事態を注視」
デトロイト市が慢性的な財政難で資金繰りに行き詰まり、連邦破産法9条の適用を裁判所に申請したことについてホワイトハウスは18日、「オバマ大統領は、この事態を注視している。われわれはデトロイト市が再建し、アメリカの大都市の1つとしての地位を維持できるよう協力していく」とする声明を発表しました。
過去最大の財政破綻
アメリカではこれまでに600以上の自治体が連邦破産法9条の適用を申請し、財政破綻しています。
このうちおととし11月には南部アラバマ州にある人口70万人のジェファーソン郡が、下水道処理施設の改修工事費が大幅に膨らみ、日本円で4100億円余りの負債を抱えて財政破綻しました。
また去年6月、西部カリフォルニア州にある人口30万人のストックトン市が、リーマンショックのあと、住宅市場の低迷などで税収が大幅に減ったため、日本円でおよそ550億円の負債を抱え財政破綻しました。
今回のデトロイト市の破綻は、負債総額でこれらの財政破綻を大幅に上回り、過去最大となっています。
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