米国自動車生産の中心的都市でかつて音楽の発信地でもあったデトロイト市が18日、ミシガン州東部地区の連邦破産裁判所に連邦破産法9条の適用を申請した。負債規模は180億ドル(約1兆8000億円)を超え、米国の地方自治体の財政破綻としては過去最大の事例となる。
かつて工業国アメリカの力とも言われたデトロイト市は、居住者や企業が郊外に流出して空洞化し、過去数十年間にわたり衰退してきた。
今後数カ月、法廷での議論や資産売却、2万人の市年金受給者を含むデトロイト市職員と元職員に対する給付金削減などが行われることになる。残り少ない市の資金を巡り、市の債券を保有する投資家は、退職者などと争うと予想される。
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デトロイト市の人口は、1950年の200万人近くをピークとして、現在約70万人までに減っている。連邦政府からの支援削減と不動産価格急落による税収減に見舞われ、デトロイト市は近年、運営費だけでなく、市職員に対する年金や健康保険などの長期的債務も借り入れてきた。
2000年以降、市の失業率は3倍になり、全国平均の2倍以上に達している。殺人率が40年近くで最高水準にあり、過去20年余りの間、全国で最も危険な都市の一つに挙げられている。事件解決率は、全国平均の30.5%に対し、わずか8.7%となっている。
市の緊急財政管理官、ケビン・オール氏は、裁判所によらずに市の債務再編を目指してきたが、債券保有者やその他の債権者からの十分な同意を得ることができなかった。最終判断は、ミシガン州のリック・スナイダー知事(共和党)に委ねられた。同知事は、09年にクライスラーの会社再建に手腕を発揮した法律家のオール氏を、今年3月にデトロイト市の財政管理官に任命した。
ミシガン州の公式ウェブサイトに掲載したビデオのなかでスナイダー知事は「これは難しく痛みを伴う判断だったが、他に実行可能な選択肢はないと信じている」と述べ、「デトロイトの衰退と言う意味において、これは60年間に作られてきた状況だ。財政の見地からすると、率直に言って、デトロイトは無一文だ」と語った。
スナイダー知事は、オール氏とアンドリュー・ディロン州財務長官に宛てた書簡で、これは「完済が期待できない債務負担の伴わない、新たなスタートの機会」との考えを示した。
事情に詳しい人物によると、破産法申請は19日なる予定だった。だが、年金基金が17日夜に破産阻止に動こうとするなど一連の訴訟を巡る圧力が高まり、申請に備えているとの情報が漏れて伝わったこともあり、前倒しした。
当初の申請文書には、デトロイト市の資産と負債がそれぞれ10億ドルを超えるとだけ示されていた。だが、スナイダー知事は、オール氏に破産法適用申請を許可する指示書のなかで、負債は180億ドルと述べた。
デトロイト市の格付けはジャンク格(非投資適格)で、資金調達の道はほとんど閉ざされている。州関係者によると、新たな歳入を調達しようとしても、住民に対する税率も法定上限に達している。市は機能的に破産しているとオール氏は述べており、最近では市の年金機構への4000万ドル近い支払いができなかった。
いまのところ、一部の担保権を有する債権者に対し、3億4000万ドル近くの債券について、1ドル額面あたり0.75ドルを支払うことで市は合意している。その代わりに、本来、債券の担保として用いられた市の3カ所のカジノから、毎月1100万ドルずつ税収として回収することになる。
だが、担保権のない債権者との交渉は、依然として行き詰まっている。こうした債権者は、110億ドルの市債のうち約20億ドルを保有している。
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