恋人を奪われる
プライドの高さゆえ、失敗そのものではなく、「失敗した自分」が受け入れられない。名門・桜蔭高校から東大教養学部へ進んだ太田咲さん(26歳・仮名)も、みずからの「屈折」してしまった経験を語る。
「私の両親は、二人とも有名大学の教授です。彼らの勉強至上主義の姿勢を見て、『アカデミズムはくだらない、普通の東大女子のように大企業に入る人生のレールには乗りたくない』と考えるようになりました。そこで、学生時代はあえて東大のアドバンテージと無関係な居酒屋のバイトに打ち込み、熱中しすぎて留年。卒業後は、その居酒屋チェーンを経営する会社に就職しました。その会社は、はっきり言って『ブラック企業』です。激務かつ、残業代も皆無。それでも、私は他の人と違う茨の道をあえて進んだのだと、心から誇らしく思っていた時期もありました。今も、周りには『後悔していない』『仕事は楽しい』と言っていますが、最近は将来への不安の方が大きい。外資系の企業や中央官庁で華やかに働いている同級生が来るOB会には、顔を出しません。惨めな気持ちになるからです」
親への反発であえてエリートコースを外れてみたものの、心の奥底に潜む親譲りのエリート意識が彼女を苦しめる。
高学歴女子は往々にして孤独だと語るのは、東大文Ąに入り、大学院まで進んだ姉崎恵子さん(30歳・仮名)だ。彼女もまた、神童ともてはやされてきた。
「小学校時代は、周りがあまりに幼稚に思え、一人だけ机を違う方向に向けて、授業とは別の勉強をしていました。
東大に入って、ようやく同じレベルの会話ができる友達に巡り合えたと思いましたね。3年の時には、初めての彼氏もできました。本当に大好きな彼で、いつか結婚したいと思っていた。ところが卒業後、私が大手銀行に入行して1年目の冬、他に好きな人ができたと突然別れを告げられたんです。私にとって人生初の失恋は、人生初の挫折でした。相手の女は短大卒で、フワフワとして可愛らしく、まさに『ザ・女子』。私とは真逆の人種です。フラれた直後、私は大学の友人との連絡をすべて断ち、東大卒の同期が大勢働いている銀行も辞めました。幸せの絶頂にいた私を知る人が、今の惨めな姿をみてバカにするに違いないと怖かった。
その後、コンサル会社に就職しましたが、そこも辞めて、もう転職5社目。会社の規模はどんどん小さくなり、それに比例して社員の学識レベルも下がっています。今は、誰と話しても面白くない。周りがみんなバカに見えた小学校時代に逆戻りしたようです。友達と呼べる人もいません」
高学歴女子にとって、失恋が人生初の挫折というケースは珍しくない。そもそも勉強一筋で育ったため男性との接触経験が乏しく、それゆえセックスを神格化する傾向が強い。複数の東大女子と付き合ってきた東大卒男性(42歳)が、彼女たちの特徴を説明する。
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