税金で「国民洗脳マニュアル」を作っていた 呆れてものが言えない「原発推進」行政

2011年07月26日(火) 週刊現代

週刊現代経済の死角

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〈そういったところのオピニオンリーダーを理解者側に取り込めたら、強い味方になる〉

 リーダーを籠絡し、反対派を切り崩す・・・。これは、原発建設の反対運動を潰す工作にも使われている手法。福島でもかつて、反対派のリーダー格だった人物が、突然、賛成派に鞍替えして、後に町長になった例がある。コミュニティーをバラバラにする、こうした手法は原子力村のいわば〝十八番〟と言える。

 そして、女性を中心に、「信頼ある学者や文化人」などに弱い大衆をコントロールするため、力を注ぐべきは識者・有名人、そしてマスコミへの広報活動だとしている。

〈テレビの何々ショウといった番組で影響力の強い人がしゃべったのを聞いて、賛成になったり反対になったりする主婦もいる〉

〈原子力に好意的な文化人を常に抱えていて、何かの時にコメンテーターとしてマスコミに推薦できるようにしておく〉

〈コメンテーターにふさわしい人の名をマスコミが自然に覚えるよう、日頃から工夫する必要がある〉

 ここでのポイントは、マスコミが「自然に覚える」よう仕向けるということ。「この人は中立的で良識派のコメンテーターだ」と、日頃からマスコミを慣れさせ、親しませておき、いざとなったら、彼らを解説者として送り込み、原子力擁護の論陣を張るのだ。

 これは今回の事故当初、テレビや新聞に登場した「識者」が、いわゆる〝御用学者〟ばかりだった事実とよく符合する。無邪気な記者たちは、有事に際し記者クラブで名前が通っていて、役所の受けが良い学者たちに一斉にコメントを求めた。だが、実は彼らは皆、〝御用学者〟ばかりだったというわけだ。

〈文科系の人は数字を見るとむやみに有難がる〉

 そんな、大手メディアの文系記者をバカにしたような記述もある。事故直後の1ヵ月以上、彼ら行政・原子力村御用達の学者は、そうしてマスコミと世論を惑わし、事故を過小評価し、メルトダウンなど起きていないと強弁し続けた。結果的に、それが国民が被曝から身を守るチャンスを奪ったことを忘れてはならない。

「青酸カリも原子力も同じ」

 

 もちろん、その一方で、直接マスコミに働きかけることも怠らない。

 

〈マスコミ関係者との個人的なつながりを深める努力が必要ではないか。接触をして、いろんな情報をさりげなく注入することが大事だ。マスコミ関係者は原子力の情報に疎い〉
〈テレビディレクターなど制作現場の人間とのロビー作り(利益代弁者作り)を考える(テレビ局を特定してもよい)。特定のテレビ局をシンパにするだけでも大きい意味がある〉

〈人気キャスターをターゲットにした広報を考える。事件のない時でも、時折会合を持ち、原子力について話し合い、情報提供をする〉

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