税金で「国民洗脳マニュアル」を作っていた 呆れてものが言えない「原発推進」行政

2011年07月26日(火) 週刊現代

週刊現代経済の死角

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 そして、今回の福島第一原発の事故以降も、大手メディアで、あたかも事故などなかったかのような「原発擁護論」が垂れ流されてきたのは何故なのか。それがよく分かるので、ぜひ確認してほしい。

 まず、このマニュアルによれば、
〈広報効果の期待できるタイミングを逃さず、時機に応じたタイムリーな広報を行う〉

 べきだという。では、どんな時が〝タイムリー〟なのかと言えば、それはなんと、原発で「事故が発生したとき」なのだそうだ。

〈何事もない時の広報は難しい。事故時を広報の好機ととらえ、利用すべきだ〉
〈事故時はみんなの関心が高まっている。大金を投じてもこのような関心を高めることは不可能だ。事故時は聞いてもらえる、見てもらえる、願ってもないチャンスだ〉

 笑止なことに彼らは〝原発は人気がない〟ことをよく知っている。原子力は〈積極的に近づきたい、知りたいという気持ちになる対象ではない〉と認めている。だからこそ、事故が起きて耳目を集めやすい時が、むしろチャンスだという。

〈事故時の広報は、当該事故についてだけでなく、その周辺に関する情報も流す。この時とばかり、必要性や安全性の情報を流す〉

 世界史に残る大規模事故と放射能汚染を起こしたというのに、この4ヵ月、「でも原発は必要だ」という声が、不自然なほど強く唱え続けられてきた。実はそれこそ、マニュアルに則った「洗脳」の手口だったのだ。

 最近は「電力不足」「節電」に関する議論が巷では喧(かまびす)しいが、実はこれも〝広報活動〟の一環である。

〈夏でも冬でも電力消費量のピーク時は(原子力が)話題になる。必要性広報の絶好機である〉

 原発がなければ、再稼働しなければ電力が足りない。耳にタコができるほど聞いたこのフレーズは、まさに〈繰り返し繰り返し〉の刷り込み工作に他ならない。

まずは父親から

 さらにマニュアルでは、ターゲットごとに効果的な宣伝方法を考えるべし、とする。まず「重要ターゲット」と位置付けるのは、父親=サラリーマン層だ。

〈父親層がオピニオンリーダーとなった時、効果は大きい〉
〈母親の常識形成にも影響が大きい。父親は社会の働き手の最大集団であり、彼らに原子力の理解者になっていただくことが、まず、何より必要〉

 生活を支えなければならない家庭の父親は、原子力や放射能が危険だからといって、すぐに仕事を放棄して避難する等の行動は取りにくい。

 その一方で無意識のうちに、知識と情報があれば危険は避けられる、騒ぐ必要はない・・・とも思っている。

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