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2013年7月19日(金) 東奥日報 ニュース



■ 佐井の魚「神経締め」で活路

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マダイに神経締めを施す佐井村漁協の職員。頭部からワイヤを通して神経を除去する=8日、佐井村の同漁協
 
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神経締めを施した鮮魚は、うま味が増した状態で沖縄に届く=18日午後、那覇市の「まぐろ問屋やざえもんイオン那覇店」(ネオ・エモーション提供)
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 佐井村漁協と佐井村が、魚の鮮度やうま味を長く保つことができる「神経締め」の技術を導入し、付加価値を高める取り組みを本格化している。遠隔地への出荷も有利となり、首都圏や沖縄県で寿司(すし)店などを展開する会社と取引が決まった。また、塩蔵してハムに加工する挑戦も始まり、東武百貨店(東京都)の歳暮商品開発へ向けて試作を重ねるなど、苦境が続く水産業で新たな活路を見いだそうとしている。

 神経締めの手法は魚種により異なるが、魚の頭部に太い針で穴を開け、さらに背骨にワイヤを通して神経組織を除去するのが一般的。脳や神経を破壊することで魚の死後硬直が遅くなり、食味を損なう原因となる疲労物質などを減らすことができるとされる。

 村漁協と村は昨年、鮮魚卸売り・小売りの塩谷魚店(青森市)が取り組んでいる神経締めの導入を決め、漁協職員や一部組合員が技術を学び始めた。

 今年6月には塩谷魚店の仲介で、ネオ・エモーション(横浜市)が展開する寿司店や居酒屋に、神経締めした鮮魚を試験出荷した。同社のチェーン店のうち、最も遠い沖縄県の店舗に届くのは2日後だが、「ちょうど店に着くころにうま味が増して食べごろになる」(同社)という。

 同社の仕入れを取り仕切る川股竜二さんは「魚は丁寧に処理されていて品質がいい」と高く評価し、7月以降の継続出荷が決まった。村漁協は、13店舗にヒラメやマダイなど週に約100キロを発送しており、「(神経締めを施していない)通常出荷の4〜5割増しの価格」という。

 また、付加価値を高める一環の商品開発には、イタリアで料理修業を積んだ八戸市の新進気鋭のシェフ滝沢英哲さんが参加。近年、全国的に人気が高まりつつある魚のハムづくりに、村漁協と共に挑んでいる。

 注目したのは、夏場に値段が落ち込むブリ。脂が乗らない時期のためだが、ハムに加工する場合は脂による酸化が進みにくくなって好適という。

 東武百貨店との間では既に、滝沢シェフの指導の下、アワビを油脂に浸してゆっくりと加熱する「コンフィ」などの商品化が決まっており、神経締めブリのハムも高価格帯での商品化が期待できそうだ。

 一方で課題も浮かび上がっている。神経締めは手間が掛かるため、処理できる量が限られる。現在、技術を身に付けたのは漁協職員数人のほか、若手組合員2人にとどまる。村漁協の木部司販売課長は「今後も講習会を継続するなど、普及を進めたい」と話す。

 神経締めは西日本を中心に普及が進むが、県漁連によると、本県では東京・築地向けの高級マグロや、ヒラメの一部などにとどまっているという。

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