ウシの胎盤形成で働くタンパクを発見 京大グループ
ウシ独特の胎盤形成で働くタンパク質を、京都大ウイルス研究所の宮沢孝幸准教授らのグループが見つけた。ウシの祖先が2千万年前に感染したウイルスに由来していた。ウシの受胎率を向上させる技術の開発に役立つ成果といい、米国のウイルス学専門誌で18日に発表する。
ウシの胎盤は母親側と胎児側の細胞が融合しており、胎児から母親へ妊娠を維持するホルモンが効率的に届けられている。
グループは、ウシの胎盤で働いているタンパク質Fematrin1に着目、胎盤の細胞を使った実験で、細胞融合を助けていることを確かめた。
Fematrin1を作る遺伝子は、ウシの祖先の遺伝子に潜り込んだレトロウイルスのDNAが、遺伝子として子孫に受け継がれたと推定されている。もともとはウイルスが宿主に感染するために膜同士の融合を助ける働きがあったとみられる。近年、畜産用のウシの受胎率が低下して問題になっており、宮沢准教授は「Fematrin1の遺伝子検査や、その産生を助ける手法の開発などで、受胎率の向上が期待できる」と話している。
【 2013年07月18日 09時20分 】