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TPP交渉―守りの国益論を超えて

環太平洋経済連携協定(TPP)の18回目の交渉が、マレーシアで行われている。今回が初参加となる日本は、米国による承認手続きを待って、会合の終盤に加わる予定だ。TPPをめ[記事全文]

日本原電―廃炉の先に活路を探れ

日本原子力発電が、保有している三つの原発すべての再稼働をめざす方針を表明した。敦賀1号機はとっくに老朽化している。2号機はその真下に活断層があると原子力規制委員会が断定[記事全文]

TPP交渉―守りの国益論を超えて

 環太平洋経済連携協定(TPP)の18回目の交渉が、マレーシアで行われている。今回が初参加となる日本は、米国による承認手続きを待って、会合の終盤に加わる予定だ。

 TPPをめぐっては常に「国益」が叫ばれてきた。反対派は「国益を損なう」と主張し、賛成派も「国益はしっかり守る」と強調する。

 そうした国益論の大半は、高い関税で守ってきたコメをはじめとする農産品の保護問題に集中し、「守り」の議論ばかりが目立つ。

 だが、TPPの交渉分野は関税の削減・撤廃にとどまらず、金融や通信といったサービス取引、投資の促進と保護、競争政策、知的財産権など幅広い。

 「総合的に消費者の利益につながるか」という視点を基本に、ルールづくりにかかわる。分野ごとの利害得失を分析し、マイナスの影響が予想される場合は、必要な対策を検討していく。政府はこうした姿勢を貫かなければならない。

 心配なのは、政府を支え、監視する役回りの国会が、守りの国益論に縛られているように見えることだ。

 衆参両院の農林水産委員会は今春、TPP交渉について決議をした。コメ、麦、牛肉・豚肉など5品目を挙げ、「聖域の確保を最優先し」「10年を超える期間をかけた段階的な関税撤廃も含め認めないこと」などを政府に求めている。

 決議の中心となったのは、自民、公明、民主の3党だ。3党の参院選での公約も、基本姿勢は国会決議の線で共通する。

 通商交渉は、攻めと守り、押したり引いたりの積み重ねだ。利害が一致する国、対立する国がテーマごとに異なる展開も珍しくない。

 特定の分野で、業界保護を優先するかのような方針に固執すれば、交渉過程で孤立したり、他の分野で思わぬ譲歩を迫られたりしかねない。

 世界貿易機関(WTO)での多国間交渉が暗礁に乗り上げた後、世界の通商交渉は二国間・地域間に軸足を移した。米欧や日欧、東アジア全体、日中韓など多様な枠組みで交渉が進む。

 これらはTPPに触発された面が少なくない。中国も関心を強め、習近平(シーチンピン)国家主席がオバマ米大統領にTPPの継続的な情報提供を求めた。世界の変化はダイナミックだ。

 日本が「聖域」にばかりとらわれていては、さまざまな経済交渉で端役に追いやられてしまう。自ら交渉を引っ張るという主体性を忘れてはならない。

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日本原電―廃炉の先に活路を探れ

 日本原子力発電が、保有している三つの原発すべての再稼働をめざす方針を表明した。

 敦賀1号機はとっくに老朽化している。2号機はその真下に活断層があると原子力規制委員会が断定した。東海第二も周辺人口が増え、避難が難しい。

 現実的に考えれば、どれも廃炉は必至というほかない。なのに日本原電は、その道に絶対に進むまいと踏んばっている。

 福島の事故で原発をめぐる社会のルールは一変した。日本原電がその現実を直視し、廃炉を選べるように、経済産業省と、日本原電に出資する電力業界は早急に道筋を描くべきだ。

 日本原電は、敦賀2号機をめぐり、そこに活断層はないとする独自の調査報告書を規制委に出した。活断層を前提にした安全性評価の命令も不服として、異議を申し立てている。

 なんとか延命をはかろうとする背景には苦しい事情がある。

 三つの原発は会計上、価値を生む資産として計上されている。会計基準の原則では、経営陣が廃炉を決めればすぐに減損処理をしなければならない。

 40年間で積み立てるはずの廃炉費用の不足分も、一括計上が必要になる。すべての廃炉を決めると損失は約2600億円。純資産の約1600億円を大きく超え、債務超過になる。

 4月に借金1千億円を借り換えたときは電力業界の保証で乗りきった。勝手に廃炉・債務超過になれば、各電力会社に迷惑をかけることになる。

 だが、だからといって、廃炉に抵抗して時間をかせいでも、社内の士気は保てまい。そうした企業に停止中とはいえ原発をまかせておくことは危うい。

 原発が動かなくても、日本原電から電力を買っていた電力5社は今年度1200億円の「基本料金」を払う。それは結局、電力料金に回る。このままでは消費者も困るのだ。

 ただ、突然のルール変更で、日本原電が自力では担えない重荷を負ったことも確かだ。原発の新規制基準の導入で、ほかにも廃炉を迫られる原発が出るのだから、国と電力業界は廃炉をスムーズに進める仕組みづくりを急がねばならない。

 経産省は、廃炉時の損失を長期に分割できる新しい決算処理の導入を検討している。それに加えて、原発推進は国策だった以上、廃炉にかかる損失処理には国費の投入も視野に入れざるをえないだろう。

 そうした議論と並行して、日本原電は廃炉事業の開拓などに活路を探るような方向転換を、電力業界と話しあうべきだ。

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