ネット選挙解禁の旗振り役が暴行された上、ネットでも攻撃され――。参院選(21日投開票)の東京選挙区で、最終議席を巡って他候補と激しいつばぜり合いを繰り広げている民主党の鈴木寛元文科副大臣(49)が、14日の街頭演説中に女に殴られ額の打撲で全治1週間のけがを負った。痛々しい姿は同情を集めそうだが、ネット上では鈴木氏の対応を巡って、“カンカンガクガク”どころか、批判が増す事態になっていた。
鈴木氏は14日夜、東京・吉祥寺駅前で街頭演説後、中年の女から「うるさい」とお茶をブチまけられ、ペットボトルで額を殴られた。「割と重かった。硬いものが来たという感じだった」(鈴木氏)。
女は取り押さえられる際に女性スタッフの腹も蹴り上げ、その場で公選法違反容疑(選挙の自由妨害)で現行犯逮捕された。
女は酒に酔っての暴行で、政治的意図はないものとみられている。鈴木氏は打撲と内出血で全治1週間と診断され、翌15日は一部日程がキャンセルとなり、再開となった夕方からの街頭活動では、大きなガーゼを当てた姿で現れた。
銀座での街頭演説会に駆けつけた野田佳彦前首相(56)からは「ニュースを聞いて心配で来た。私は柔道の黒帯を持っているので警備できる」と励まされ、聴衆からは同情や心配する声がかけられたが、逆の反応が出たのはネット上だ。
これは鈴木氏が15日にフェイスブックに寄せた“緊急声明”がきっかけだ。「暴力に屈しない」と表明すると同時に「ネット上では私が文科副大臣の時の放射能汚染への対応でまったく事実無根の書き込みが見られる」「発達障害の子どもについての心ない話が私の話で拡散されている」「今回の候補者の中で私を名指しで根拠のないウソと誹謗中傷するという不誠実な演説をされている」と“中傷被害”を告白したからだ。
20人が出馬している東京選挙区(改選数5)では自民党(2人)、公明党、共産党の4人の候補の先行がささやかれる中、鈴木氏は各情勢調査で5番目のイスを巡って、無所属で俳優の山本太郎氏(38)とシ烈な争いを繰り広げている。
脱原発を訴える山本氏は、被ばくを拡大させた戦犯に鈴木氏を挙げていただけに“不誠実な演説をする候補者”が山本氏を指しているのは明白。
山本氏自身はツイッターで「いかなる暴力も絶対反対。僕らが闘う場所は21日の投票日だ」と鈴木氏との舌戦は避けたが、山本氏と鈴木氏の双方の支持派が激しく原発事故時の鈴木氏の対応を巡っての是非論をぶつけ合っている。ただ暴力事件にかこつけ、中傷ネタを持ち出した鈴木氏への批判が勢いを増している状況だ。
鈴木氏はネット選挙解禁の旗振り役。選挙期間中に自身がネガティブキャンペーンにさらされるとは、なんとも皮肉な事態ともいえる。もっとも「他候補者のデマやでっちあげにだまされないでください」(鈴木氏陣営)と主張するならば、ネット選挙解禁に伴い、改正された公選法の虚偽事項公表や名誉毀損などの法的措置に訴えればいいところだが、その予定はないという。
暴行事件に端を発した中傷告発がネット上で火をつけ、選挙戦にどう影響を及ぼすか注目だ。
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