ネット中傷:投稿者特定、削除…費用30万円 弁護士闘う

毎日新聞 2013年06月26日 15時00分(最終更新 06月27日 17時06分)

 インターネット掲示板にあふれる匿名の中傷について、投稿者の割り出しや削除依頼を担う弁護士が関東地方を中心に増えている。顧客は個人から企業までさまざま。削除まで費用も時間もそれなりにかかるが、ネット利用の選挙運動が解禁される参院選では候補者へのなりすましや中傷の書き込みが懸念されることもあり、選挙事務所への働きかけを検討する弁護士もいる。【飯田憲】

 横浜弁護士会の最所義一(さいしょよしかず)弁護士は昨年4月、西日本の企業から相談を受けた。就職活動の期間中に、サービス残業を強いたり、パワーハラスメントが横行していたりする「ブラック企業」として掲示板「2ちゃんねる」に匿名で書き込まれ、イメージダウンを心配していた。

 最所弁護士はまず、この企業に残業代を支払っている証拠を出させた上で、掲示板運営者に投稿者のIPアドレス(ネット上の住所)開示を求め東京地裁に仮処分申請した。

 地裁から得た仮処分命令を掲示板運営者に示してIPアドレスなどを開示させ、経由プロバイダーを通じて投稿者に「名誉毀損(きそん)に当たる」と伝えた。投稿者は就職試験に落ちた学生とみられ、通知後に新たな書き込みは止まり、それまでの投稿は掲示板運営者が削除した。

 ここまで相談から約1カ月。もろもろの費用として企業に約30万円を請求した。

 ライバル会社からの中傷など相談は年間100件近くに上る。最所弁護士は「書き込んだことが特定され、実際にプロバイダーから通知が来ると、現実に引き戻されてやめるケースが多い」と話す。

 根拠のない中傷など「荒らし」と呼ばれる書き込みに対し、投稿者情報が掲載される2ちゃんねるの「アクセス規制情報」のページには、開示の仮処分命令を得たさまざまな弁護士の名前がずらり連なる。手続きが早く進む東京地裁の命令が大半で、東京圏の弁護士が多い。

 こうした状況を受け、自らのホームページで「ネット上の中傷削除」を得意分野として掲げる弁護士も増えてきた。

 清水陽平弁護士(東京弁護士会)もそんな一人。コンサルティング会社に勤務時代、頭を悩ませる企業を目の当たりにして「ネット=仮想空間ではなく現実的な対処が不可欠」と痛感した。参院選を前に、選挙事務所向けのセミナーも計画中で「中傷やなりすましの対策とともに、ネット選挙でどんな活動ができるかも説明したい」と話している。

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