参院選で自民党が勝っても「違憲国会」では憲法を改正できないことを、安倍首相はよくわかっている

2013年07月19日(金) 長谷川 幸洋
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 改憲が「国民の腹に落ちているか」といえば「まったく落ちていない」と言っていい。こんな状態で改憲など、とてもできるわけがない。CMコピーの「いつやるの?いまでしょ」みたいにはいかないのだ。そんな単純な政治をやっていたら、あっという間に政権が崩壊してしまう。

 そんな安倍の認識と憲法改正をめぐるメディア報道を比べると、どうも大きなギャップがあるように思える。たとえば国会勢力図からみた定番の解説だ。

 衆院の院内会派をみると、自民党・無所属の議席数(294)に日本維新の会(54)、みんなの党(18)など改憲派勢力を加えれば、3分の2の320を大きく超えている。そこで「参院選で改憲派が3分の2を超えると、衆参両院で憲法改正の発議に必要な条件を満たす。だから、改正が現実味を帯びてくる」というストーリーが飛び交った。

メディアは衆院の違憲状態を議論せよ

 だが、この筋書きは衆院が違憲状態である点を無視しているか、見過ごしている。繰り返すが、そもそも違憲状態の国会が選んだ政権には改憲に動く正統性がない。加えて、今回の参院選だって一票の格差が4.77倍に達しているではないか。私からみれば、こちらも十分に違憲のレベルだ。

 そんな状態で単純に改憲勢力を足し算して「自民党が勝ったら、いよいよ改憲だ」などと言ってもしかたがない。議席の数合わせの前に、国会の違憲状態をどうするかのほうが、日本の政治にとってはるかに重要な問題である。

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