記者会見後、笑顔で話す名古屋・ストイコビッチ監督(左)とアーセナル・ベンゲル監督=名古屋市中区で(今泉慶太撮影)
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22日に豊田スタジアムで行われる名古屋グランパスとアーセナル(イングランド・プレミアリーグ)との国際親善試合を前に、アーセナルが18日、中部国際空港へ来日した。アーセン・ベンゲル監督(63)とグランパスのドラガン・ストイコビッチ監督(48)が名古屋市内でそろって会見。かつてグランパスを指揮したベンゲル監督がピクシーを後継者に指名?するなど、師弟対決は前哨戦から盛り上がった。
壇上に並び立った2人のレジェンドへ無数のフラッシュが降り注ぐ。草創期のグランパスに初タイトル(95年天皇杯)をもたらしたベンゲル監督と、その指揮下で大活躍し、現在はグランパスで長期政権を築いているピクシー。親善試合とはいえ、2人が対決するのはもちろん初めてだ。
ベンゲル監督は「空港に降り立ったときにこみ上げてくる感情があった。戻ってこられてうれしい」と17年ぶりの名古屋訪問を喜びつつ、視線を真横へと移す。「ピクシーは今の欧州では存在するのが難しいような、創造力あふれる選手だった」と昔を振り返り、「彼が監督になったのは、私が監督という仕事に関していい影響を与えたから」と笑わせた。
恩師の口撃?にピクシーはにこやかに応酬。「私は監督に殺されそうになったんだ。本当によく走らされた。彼がベンチのボスで、私がピッチ内のボスだったね」。現役引退後は監督ライセンス取得のための研修を兼ね、アーセナルを何度も訪れた。「ベンゲル監督からはチームを率いる術を学んだ」と言う。
2人の濃密な師弟関係は互いに指導者になっても続く。過去にはベンゲル監督がアーセナルの後継にピクシーを指名したという報道が飛び交ったこともある。この話題に関して、ベンゲル監督は「後継者? 答えはイエスだ。もっとも私はまだ引退するつもりはないし、後継者を決めるのは私ではなく役員会だがね」とニヤリ。ピクシーは「あと10年待ってくれ」と笑顔で返した。
22日は名門・アーセナルにグランパスが挑むという構図になる。ベンゲル監督が「今はシーズン前の準備期間。グランパスとの試合で現状がわかる」と重要なテストと位置づける。これに対してピクシーは、「勝ちにいく。エキサイティングな試合になるだろう」
ベンゲルとピクシー。2人の傑物のストーリーが再び交わる。 (木村尚公)
◆宮市、故郷に凱旋
名古屋市出身でアーセナル所属のFW宮市もアジアツアーに同行し、故郷に凱旋(がいせん)。両指揮官の退席後にひな壇に上がり、「今回アーセナルの選手として地元の名古屋に戻って来られて本当にうれしい」と語った。17日にはベトナムのハノイでベトナム代表との親善試合に後半から出場。3月の右足首靱帯(じんたい)の再建手術後、初めて実戦復帰を果たし、「ほぼ1年試合に出られなかったが、いい雰囲気のなかでやれた」と笑顔で振り返った。
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