ほんとに怖い言論弾圧日本がすでに始まっている
7月4日の第23回参議院議員通常選挙公示日。
自民党の安倍晋三党首は第一声を発する地に福島を選んだ。
市民からは、
「前回も来たのが選挙のときで、また今回も選挙のときで、選挙のときしか来ないしね。福島をそういう形で利用しようとしているのかなあっていう思いももちろんある。」
との声も聞かれる。
この街頭演説に福島県二本松市在住の一人の主婦がプラカードを持参して駆けつけた。
プラカードには、
「総理、質問です。
原発廃炉に
賛成?反対?」
と書かれていた。
女性は、
「私たちの声を届けるチャンスはなかなかない。直接、質問に答えてはくれなくても、ボードの字が首相の目にとまるかも知れないと思って」
と述べた。
演説会が始まる前、この女性を4人の男性が取り囲んだ。
一人は「警察の者ですが」と名乗った。
女性はこのときの模様を、
「連絡先をしつこく聞かれて本当に怖かった。逮捕されるのではないかと思うほどだった。」
と述べた。
これが、「ほんとは怖いアベノリスク」の一断面である。
この「事件」について、ネットでは早い段階から情報が拡散されていた。
私の元にも情報が届けられた。
このような時代、暗黒に一筋の光を指し入れるのが、市民発信のネット情報である。
大半のマスメディアが、このような重要事項を黙殺するなかで、7月14日付東京新聞=中日新聞『こちら特報部』が、この「事件」を詳報した。
女性が演説を撮影しようとしたスマートフォンに、このときの模様の一部が撮影された。
恐ろしい日本がすでに始まっているのだ。
大きな力によって、罪のない市民は、いつでも犯罪人に仕立て上げられてしまう。
『アベノリスク』第六の罪
「改変される憲法」
自民党憲法改正草案第二十一条は次のものだ。
(表現の自由)
第二十一条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、保障する。
2 前項の規定にかかわらず、公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは、認められない。
第2項をじっくりと見ていただきたい。
「公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは、認められない。」
恐ろしい条文が盛り込まれているのである。
現行憲法第二十一条の条文との相違は歴然としている。
現行憲法の条文は以下の通り。
第二十一条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
そして、現行憲法の第十章「最高法規」には、第九十七条として、基本的人権についての考え方を示す以下の条文が置かれている。
第九十七条 この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。
現行憲法における基本的人権の位置付けは極めて大きく、憲法の根幹をなすものになっている。
自民党憲法改正草案は、
「公益及び公の秩序」の名の下に、基本的人権を制限できることとしている。
現行憲法が、
「基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたもの」
としていることと比較すれば、天地の開きがあると言わざるを得ない。
自民党憲法改正草案は、大日本帝国憲法との共通点が多い。
大日本帝国憲法には、
第29条 日本臣民ハ法律ノ範囲内ニ於テ言論著作印行集会及結社ノ自由ヲ有ス
の条文が置かれ、言論の自由は「法律の範囲内」で認められるものであった。
そして、その範囲を定めたのが、悪名高い「治安維持法」であり、この法律には次の条文が置かれた。
第1条
国体ヲ変革スルコトヲ目的トシテ結社ヲ組織シタル者又ハ結社ノ役員其ノ他指導者タル任務ニ従事シタル者ハ死刑又ハ無期若ハ7年以上ノ懲役若ハ禁錮ニ処シ情ヲ知リテ結社ニ加入シタル者又ハ結社ノ目的遂行ノ為ニスル行為ヲ為シタル者ハ3年以上ノ有期懲役ニ処ス
首相の街頭演説に、市民が抱く当然の質問を記載したプラカードを持参しただけで、恐ろしい言論弾圧を受ける。
「ほんとは怖いアベノリスク」が、すでにくっきりと姿を現し始めている。
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