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【若松真平】売れ行き好調な「社食レシピ本」に続けとばかりに出版が相次ぐ「病院食レシピ本」。数あるなかで、患者向けと同じ料理を職員食堂で提供しているのが「せんぽ東京高輪病院」(東京都港区)だ。病院食はおいしくない、というイメージをぬぐい去るべくつくりあげた自慢の料理は、患者の見舞いなどで訪れた一般客も食べることができる。味と栄養バランスに自信があるらしい。
都営浅草線の高輪台駅から徒歩3分。病院2階の小児科に隣接している「レストランたかなわ」を訪ねた。手前の席が一般向け、奥が職員向けと分かれていて、どちらでも「けんこう定食」が食べられる。メニューを考えた病院の栄養管理室長・足立香代子さん(65)に話を聞いた。
――まず「けんこう定食」について教えてください。
「動物性脂肪が控えめで、塩分3グラム台以下、野菜150グラム以上、食材15品目以上を使った定食です。カロリーは500キロカロリー台です」
――2012年11月から、この食堂で病院食を出しているそうですね。何かきっかけがあったのですか?
「実はその年、院長がこの病院に入院したんです。そのときに病院食を食べて『これはおいしい。栄養バランスも考えられているんだから、職員食堂でも出そう』という話になりました」
――さっそく料理をいただきます。本日は野菜たっぷりチャプチェ、カブと油揚げの煮物、ツナのたまごサラダ、白菜とエノキの中華スープの4品と、ごはん。病院食にしてはボリュームありますね。
「塩分やカロリーは抑えつつ、キノコやしらたきを使うことで量をかさ上げしているんです。満腹感が得られないと間食してしまってバランスを崩してしまいますから。人によって食べる量に差があるので、そこはごはんの量で調整してもらいます」
――けっこうしっかり味付けされています。塩分は大丈夫ですか?