うなぎ:値下げマジック 稚魚不漁を予測、昨秋大量仕入れ
毎日新聞 2013年07月18日 21時33分(最終更新 07月18日 23時33分)
稚魚の不漁でうなぎの価格が高騰する中、22日の「土用の丑(うし)の日」を前に、大手スーパーの一部でかば焼き値下げの動きが出てきた。今年も不漁が続くと見込み、うなぎの卸価格が安くなる昨秋の段階で大量仕入れに踏み切ったのが「値下げマジック」のからくりだ。
ダイエーは13〜15日の3連休に全店舗で、昨年は1980円だった「鹿児島県・宮崎県産 うなぎ蒲焼(かばやき)(大)」(約160グラム)を約2割値下げの1580円で販売。売り上げは前年同期比約2倍と好評だった。20〜22日の3日間も再び特価で販売する。セール第1弾が評判を呼んだため、「売上高はさらに増えそう」(ダイエー)。宣伝効果も大きく、店舗によっては別の日も特売を行う。
不漁が続き、今年のうなぎの稚魚は過去最高の1キロ248万円と、比較的豊漁だった2009年の約6.5倍の高値で取引され、小売店でのかば焼きの価格も、この間に約23%上昇した。にもかかわらず値下げできたのはなぜか。
ダイエーは今夏をにらみ、昨年のシーズンが一段落した秋口から動いた。例年、7月商戦用のうなぎは、1月以降に購入するが、ダイエーは「稚魚の不漁は続く」と見て勝負に出た。シーズンを終えた秋に卸価格が下がるタイミングを見計らって大量に仕入れ。うなぎが高騰した昨夏は消費が落ちこみ、養殖業者の在庫が積み上がったのも有利に働いた。閑散期の食品工場で加工してコストも抑制。仮に今年が豊漁なら、卸価格も下がり、昨秋の仕入れは割高だったことになるが、「相場を見通す経験がものを言った」と胸をなでおろす。
このほか、西友が大量仕入れでコストを削減。東日本で扱うかば焼きを昨年の1390円(約143グラム)から大型化(約167グラム)して1470円にし、実質値下げした。【西浦久雄】