7月18日の海外株式・債券・為替・商品市場
(ブルームバーグ):欧米市場の株式、債券、為替、商品相場は次の通り。
◎NY外為:ドル上昇、堅調な経済統計で緩和縮小観測強まる
18日のニューヨーク外国為替市場ではドルが主要16通貨のうち13通貨に対して上昇した。米新規失業保険申請件数やフィラデルフィア地区の製造業景況指数が予想よりも良好だったことから、米金融当局が緩和策を縮小するとの見方が強まった。
円は対ドルで続落。今週行われる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で日本銀行の緩和策が支持されるとみられている。ユーロは対ドルで下げ幅を縮小した。ポルトガル議会がコエリョ首相率いる政権に対して緑の党が提出した問責決議案を否決したことが影響した。
バーナンキ連邦準備制度理事会(FRB)議長はこの日、2014年年央ごろに量的緩和が停止する可能性をあらためて示唆した。
ブラウン・ブラザーズ・ハリマンのチーフ為替ストラテジスト、マーク・チャンドラー氏は「市場はドルに対してまだ強気だ」と述べた上で、「しかし緩和策縮小のタイミングをめぐっては、より大きな疑問が織り込まれるだろう。米金融政策の見通しは引き続き調整の余地がありそうだ」と続けた。
ニューヨーク時間午後5時現在、ドルは対円で0.8%上昇して1ドル=100円43銭。対ユーロでは0.1%高の1ユーロ=1.3109ドル。一時は0.4%高となった。ユーロは対円では0.7%上昇して1ユーロ=131円65銭。
JPモルガン・チェースのグローバルFXボラティリティ指数は9.96%と、5月30日以来の低水準。6月24日には1年ぶり高水準の11.96%をつけた。
堅調な経済統計米フィラデルフィア連銀の発表によると、7月の同地区製造業景況指数は19.8と、ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト調査の予想中央値(8)の2倍以上だった。前月は12.5だった。同指数はゼロが拡大と縮小の境目を示す。同指数発表後、ドルは対円で上げ幅を拡大した。
米労働省が発表した先週の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は、前週比2万4000件減の33万4000件。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想の中央値は34万5000件だった。
バーナンキ議長は上院銀行委員会の公聴会で発言し、9月に緩和縮小が開始されるのかどうか「判断するのは時期尚早だ」と述べた。
ファロス・トレーディング(コネティカット州スタンフォード)の調査責任者ダン・ドロー氏は「投資家は緩和策縮小の時期については見方をあまり変えていない」と述べ、「米金融当局は経済統計を収集する必要があると述べている」と続けた。
主要10通貨に対するブルームバーグのドル指数は0.2%上昇して1034.62。
円が対ドルで下落円はドルに対して過去5日間で4度目の下落。ロシアのストルチャク財務次官はG20財務相・中央銀行総裁会議は恐らく、日本や米国などの先進国に対し景気刺激政策の縮小を求めないだろうと述べた。
先進10カ国の通貨で構成されるブルームバーグ相関加重通貨指数によると、円は過去1年間で23%下落。ユーロは9.2%上昇、ドルは1.5%上昇している。
ユーロは対円で7週ぶり高値をつける場面もあった。ギリシャ議会が公務員削減を可能にする法案を可決したことに反応した。法案可決により、同国救済のための次回融資実行への道が開かれた。
原題:Dollar Strengthens as Data Fuel Bets on Fed Tapering; YenSlides(抜粋)
◎米国株:S&P500種は最高値更新-経済指標や予想上回る決算で
米株式 相場は続伸。主な株価指数は最高値を更新した。モルガン・スタンレーやユナイテッドヘルス・グループの決算が予想を上回ったことに加え、新規失業保険申請件数の減少が買いを誘った。米議会では前日に続き、連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長が証言した。
モルガン・スタンレーは大幅高。株式トレーディング収入が利益を押し上げた。通期の業績見通しを上方修正したIBMも高い。ユナイテッドヘルスも大きく上げた。加入者数が増加し、利益が予想を上回った。一方、インテルは大幅安。第3四半期の売上高見通しが一部のアナリスト予想を下回ったことが嫌気された。eベイも安い。第3四半期の売上高見通しがアナリスト予想に達しなかった。
S&P500種 株価指数は前日比0.5%高の1689.37で終了。5月22日に付けた日中取引での最高値1687.18も上回った。ダウ工業株30種平均は78.02ドル(0.5%)上げて15548.54ドルと最高値を更新した。
コニファー・セキュリティーズの株式取引ディレクター、リック・フィア氏は「バーナンキ議長がやろうとしていることの基本的なコンセプトは市場に浸透しつつあり、それは良いことだ」と指摘。「緩和縮小が近づいており、景気は改善しているが、なお金利はしばらく低水準にとどまると市場は考えている。失業保険統計の内容は予想より良かった。企業決算はまずまずだ。全般的に見て、ここで強気にならないのは困難だ」と語った。
ブルームバーグがまとめたデータによると、50日移動平均を上回っているS&P500種構成銘柄は17日現在で全体の81%だった。5月には93%に達し、1年7カ月ぶりの高水準となった。年初来の最低は6月の27.8%。前日には56銘柄が52週高値を更新、52週安値を更新した銘柄はなかった。
経済指標朝方発表の先週分の新規失業保険申請件数は減少し、市場予想も下回った。これを背景に株価先物は上昇した。労働省の報道担当者は、毎年この時期は自動車メーカーの設備刷新に伴う工場閉鎖で調整が難しくなると説明した。民間調査機関コンファレンス・ボードが発表した6月の米景気先行指標総合指数(LEI)は前月比変わらずだった。
フィラデルフィア連銀の7月の同地区製造業景況指数が19.8と、前月の12.5から加速したことが明らかになると、株価は上げ幅を拡大した。同指数はゼロが拡大と縮小の境目を示す。
フィラデルフィア・トラストの最高投資責任者(CIO)、リチャード・シーシェル氏は電話取材に対し、「失業保険は予想よりやや良く、市場に安心感をもたらした。決算期が最盛期を迎え、銘柄ごとに選別的な動きとなっている」と話した。
ETFや投信に資金流入株式上場投信(ETF)や投資信託への資金流入が1月以来の高水準になっていることも、支援材料となっている可能性がある。ブルームバーグが約1500証券のデータをまとめたところによると、株式ETFには今月これまでに約270億ドルが流入している。6月は1910万ドルの資金流出だった。
米投資信託協会(ICI)の17日の発表によると、米国株に投資する投信に10日までの5営業日に45億5000万ドルの資金が流入した。それまでは7週連続の純減となっていた。
グーグルやマイクロソフトなど32社がこの日、決算を発表。ブルームバーグがまとめたデータによると、これまでに第2四半期決算を発表したS&P500種構成企業のうち1株当たり利益が予想を上回ったのは約73%となっている。
S&P500種のセクター別では10業種のうち金融株を中心に8指数が上昇した。KBW銀行指数は1.7%上昇し、2008年10月以来の高水準。
原題:S&P 500 Rises to Record on Economic Data, CorporateEarnings(抜粋)
◎米国債:今週初の下落、経済指標が量的緩和縮小見通しを裏付け
米国債相場は今週初の下落。新規失業保険申請件数が市場予想を下回り、フィラデルフィア連銀製造業景況指数は予想を上回ったことで、景気改善により当局の資産購入縮小が可能になるとの見方が広がった。
米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスはこの日、米国の格付け「Aaa」の見通しを「ネガティブ」から「ステーブル」に引き上げた。この発表後も米国債相場は軟調に推移した。米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長は前日、資産購入について「事前に方針が決まっているわけでは決してない」と言明。これを手掛かりに10年債利回 りは同日、2週間ぶり低水準を付けた。議長はこの日は、9月の縮小開始をめぐり「判断を下すのは時期尚早」だと述べた。米財務省が実施した10年物インフレ連動債(TIPS)入札では、最高落札利回りがほぼ2年ぶりにプラスとなった。
モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメントの資産運用担当者、ジェームズ・キャロン氏は「大半の人が考えていたよりもゆっくりではあるが、現在は回復段階にある」と指摘。「全体的なメッセージはなお、ある時点で緩和策を一部引き揚げると当局が考えているということだ。よってハト派的なコメントを受けても、相場は上昇が難しくなっている」と続けた。
ニューヨーク時間午後5時現在、10年債利回り は前日比4ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の2.53%。前日は2.46%と、3日以来の低水準を付ける場面があった。同年債(表面利率1.75%、2023年5月償還)価格はこの日10/32下げて93 1/4。
米格付け見通しムーディーズの発表によれば、同社は米国の「Aaa」格付けを確認した。格付け見通しは2011年8月以来「ネガティブ」だった。
RWプレスプリッチの政府債取引担当マネジングディレクター、ラリー・ミルスタイン氏(ニューヨーク在勤)は「ムーディーズによる格付け見通し引き上げがポジティブなのは明らかだ」とし、「これは、世界的に悪い環境の中でも米国はまだ最もましなことを示している。短期的に米国債に大きな影響はないが、中長期的に見れば良いニュースだ」と述べた。
米財務省がこの日実施した10年物インフレ連動債(TIPS、発行額150億ドル)入札の結果によると、最高落札利回りは0.384%と11年7月以来の高水準。また同年11月以来で初めてゼロを上回りプラスとなった。入札直前の市場予想は0.399%だった。
TIPS入札BNPパリバの金利ストラテジスト、アーロン・コーリ氏(ニューヨーク在勤)は「TIPS市場は先走りしている。水準はなお高過ぎで、需要も過剰だ」と指摘。「今の経済にTIPSの力強さを正当化するようなインフレ圧力は見られない」と続けた。
投資家の需要を測る指標の応札倍率は2.44倍。過去10回の入札の平均は2.68倍。
財務省は来週23日から2年債(発行額350億ドル)、5年債(同350億ドル)、7年債(同290億ドル)の入札を実施する。
米労働省が発表した先週の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は、前週比2万4000件減の33万4000件。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想の中央値は34万5000件だった。
米フィラデルフィア連銀の18日の発表によると、7月の同地区製造業景況指数は19.8。前月は12.5だった。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト調査の予想中央値は8への低下だった。
RBSセキュリティーズの米政府債ストラテジスト、ガブリエル・マン氏は「バーナンキ議長が示唆していたように、かなり経済統計次第という状況にある」とした上で、「議長が説明したように、データで最も重要なのは雇用関連だ。フィラデルフィア連銀の景況指数はそういった意味では重要度が劣るが、それでも重要視すべき指標だ」と加えた。
原題:Treasuries Decline as Reports Suggest Support for QETapering(抜粋)
◎NY金:反発、現物買い増加の兆しで-過去4日間で3日目の上昇
ニューヨーク金先物相場は反発。現物需要が増えている兆しを手掛かりに、買いが優勢となった。過去4日間では3日目の上昇。
田中貴金属工業は4-6月(第2四半期)の金地金の販売量が前期比で3倍に増加したと発表した。価格の大幅な下落を受けて、個人投資家の買いが殺到した。バークレイズは15日のリポートで、中国や日本などで需要堅調の兆しがあると指摘した。金は6月28日に2年10カ月ぶり安値をつけて以降、9%戻している。
シティグループの商品先物スペシャリスト、スターリング・スミス氏(シカゴ在勤)は電話インタビューで、「現物買いが金相場を引き続き支えている」と指摘。「テクニカルな買いも見られる」と述べた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物12月限は前日比0.5%高の1オンス=1285.50ドルで終了した。
原題:Gold Gains Third Time in Four Days on Increased PhysicalDemand(抜粋)
◎NY原油:続伸、1年4カ月ぶり高値-経済統計と株高で
ニューヨーク原油先物相場は続伸。米新規失業保険申請件数の減少と株価の上昇で景気への楽観が強まり、原油先物はほぼ1年4カ月ぶりの高値で引けた。
米労働省によると、先週分の米新規失業保険申請件数は5月上旬以来の水準に減少した。米株式市場では予想を上回る企業決算を背景に、S&P500種 株価指数が取引中の過去最高値を更新した。
BRGブローカレッジ(ニューヨーク)のジェフ・グロスマン社長は「景気は良好のようだ」と述べ、「原油相場は株式と足並みをそろえて上昇しつつある。買い意欲は非常に強く、収まる気配がない」と続けた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物8月限は前日比1.56ドル(1.47%)高の1バレル=108.04ドルで終了。終値としては2012年3月19日以来の高値。7月に入ってからは12%値上がりしている。
原題:Crude Advances to 16-Month High as Brent Spread Narrows to$1(抜粋)
◎欧州株:6週間ぶり高値に上昇-仏ピュブリシス、英LSE高い
18日の欧州株式 相場は続伸。指標のストックス欧州600指数は6週間ぶり高値に達した。世界3位の広告会社、仏ピュブリシス・グループの増益決算やロンドン証券取引所グループ(LSE)の収入の伸びを好感したほか、米新規失業保険申請件数が市場予想を下回ったことも買いを促した。
ピュブリシスは3.4%上げ、LSEは約5年ぶり高値。イタリアのポポラーレ・ディ・ミラノ銀行やスペインのバンキンテルを中心に金融株も高くなった。スウェーデンの通信機器メーカー、エリクソンやフィンランドの携帯電話メーカーのノキアは大幅安。両社はともに、売上高が予想を下回った。
ストックス欧州600指数 は前日比0.9%高の299.76で終了。5月31日以来の高値となった。前日は0.6%上昇。米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長が資産購入の縮小時期について、あくまで米景気の回復ペース次第との認識を示したため、買い安心感が生まれた。
エイムド・キャピタルのポートフォリオマネジャー、ダニエル・ウェストン氏(ミュンヘン在勤)は電子メールで、「市場は強気に満ちている。相場は良い経済データが続いても上昇するし、経済指標の勢いが衰えても政策が支えになる」と指摘。「株式市場は依然として大半の人から、低リスクの投資環境と見なされている」と付け加えた。
ストックス欧州600は年初来で7.2%上昇。金融サービスや自動車株が上げをけん引してきた。
米労働省がこの日に発表した先週の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は、前週比2万4000件減の33万4000件。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想の中央値は34万5000件だった。同日の西欧市場では、ノルウェーを除く17カ国で主要株価指数が上昇した。
原題:European Stocks Advance to Six-Week High asPublicis, LSE Climb(抜粋)
◎欧州債:軒並み上昇、FRB議長発言で緩和継続期待-英国債も高い
18日の欧州債相場は軒並み上昇。バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長の議会証言を受け、世界の主要中銀が金融緩和を継続するとの楽観が強まった。
ドイツ10年債利回りは1カ月ぶり低水準に低下。スペインのこの日の国債入札では、2016年から23年に償還を迎える債券計31億ユーロの平均落札利回りが前回を下回り、これを受けて流通する国債の利回りも下がった。欧州中央銀行(ECB)がリファイナンスオペの担保基準を変更したことも支えとなり、オランダやフィンランド、オーストリアの国債も値上がり。フィッチ・レーティングスによる格下げ後、初の入札実施となったフランスの国債も上昇。
ダンスケ銀行のアナリスト、アンダース・モーラールムホルツ氏(コペンハーゲン在勤)は「昨日のバーナンキ議長は最近よりもハト派的だったので、それが中核国の国債相場を助けている」と指摘。「鍵は中銀の市場との対話にある。FRBでもECBでも、市場に語り掛ければ相場が動く」と付け加えた。
ロンドン時間午後4時24分現在、ドイツ10年債利回りは前日比3べーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の1.51%。一時は6月7日以来の低水準である1.50%まで下げた。同国債(表面利率1.5%、2023年5月償還)の価格は0.28上げて99.895。オランダ10年債の利回りは3bp低下の1.94%と、6月19日以来で最低。
バーナンキ議長は前日、「雇用の見通しの明るさが相対的に低下するような場合やインフレ率が2%に向けて上昇する気配が感じられない場合、また最近引き締まっている金融環境について緩和の度合いが不十分で当局の責務達成が不可能だと判断されるような場合には、現在の購入ペースがより長期にわたり維持される可能性がある」と指摘した。
スペイン入札では、国債発行規模が目標上限の30億ユーロを上回ったほか、借り入れコストが低下。流通市場での10年物の国債利回りは6bp低下して4.67%。同年限のフランス債利回りは3bp低下の2.17%。
英国債市場では、2年債相場が3営業日続伸。利回りはロンドン時間午後4時26分現在、前日比3bp低下の0.28%。一時は5月9日以来の低水準となる0.27%を付けた。同国債(表面利率2.75%、2015年1月償還)の価格は0.03上げて103.71。英10年債利回りは4bp低下の2.25%。
原題:European Bonds Rise Amid Stimulus Optimismas Spain Sells Debt(抜粋)原題:Pound Advances Versus Euro as Retail SalesRise for 2nd Month(抜粋)
更新日時: 2013/07/19 07:03 JST