MERS 世界的感染の懸念ないが警戒を7月18日 4時48分
中東やヨーロッパで感染が拡大している「MERSコロナウイルス」について、WHO=世界保健機関は17日、専門家らによる緊急委員会を開いた結果、現状では世界的な感染の拡大が懸念される事態には至っていないものの、依然として十分な警戒が必要だとする見解をまとめました。
新種のウイルス「MERSコロナウイルス」は、2003年に感染が拡大したSARSを引き起こしたのと同じコロナウイルスの一種で、中東やヨーロッパでこれまでに82人の感染が確認され、このうち45人が死亡しています。
これについてWHOは17日、専門家による緊急委員会を開き、これまでに感染が確認された国の保健当局からの報告などを基に今後の世界レベルでの対応などについて検討しました。
委員会のあと記者会見したWHOのフクダ事務局長補は、「現在得られる情報を分析した結果、現状では世界的な感染の拡大が懸念される事態には至っていない」とする見解をまとめたことを発表しました。
一方で、引き続き新たな感染例が見つかっていることや感染した場合の致死率が高いことなどから、今後も十分な警戒が必要だとしています。
委員会では、今後の感染拡大に備えて加盟国の医療機関が感染者を早期に発見できるよう準備することなどの対策を求めており、各国への技術支援を行うとしています。
国内の「MERS」対策は
中東からヨーロッパにかけて感染が拡大している新種のコロナウイルスによる感染症について、厚生労働省は、空港や港の検疫所でポスターを掲示するなどして注意を呼びかけるとともに、感染の疑いがある患者が出た場合に備えて検査体制を整えています。
「MERSコロナウイルス」は、これまで国内で感染は確認されていませんが、厚生労働省は、空港や港の検疫所でポスターを掲示するなどして注意を呼びかけています。
この中では、患者の発生が報告されているサウジアラビアやカタールなどから帰国した人に対して、発熱やせきなどの症状がある場合は検疫所に相談するよう呼びかけています。
また、こうした国に渡航する人に対しては、手洗いの徹底や動物との接触を避けるなど一般的な衛生対策を取るよう呼びかけています。
さらに、医療機関に対しては、38度以上の発熱やせきなどの呼吸器症状があり、発症する10日以内にサウジアラビアなど感染が拡大している地域に渡航したり住んでいたりした人を診察した場合は、速やかに厚生労働省に報告するよう求めています。
このほか厚生労働省は、国内で感染の疑いのある患者が出た場合に備えて、全国の72か所の地方衛生研究所に「MERSコロナウイルス」を検出するための試薬を配備し、検査体制を整えています。
感染の疑いがある患者が出た場合、地方衛生研究所でウイルスの検査が行われ、陽性だと判断されれば、東京の国立感染症研究所で確定検査が行われることになっています。
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