農and食・全国農業コンクール:「伝えたい。農の復興・底力」テーマに きょう福島で開幕(その1)
毎日新聞 2013年07月18日 東京朝刊
◇手作り農産品ショップ人気−−福島・南相馬市、相馬農業高校
「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」。福島県南相馬市の県立相馬農業高校(渡辺芳広校長、生徒数281人)の実習店舗「相農(そうのう)ショップ」で、生徒が元気な声を上げる。東日本大震災と福島第1原発事故による苦難を乗り越え、手作りのパンや加工品、農場で育てた季節の花や野菜を販売して常連客でにぎわっている。【高橋秀郎】
◇地域の喜び、何よりの励み
同校は今年、創立110周年。地域に根付いた活動が特色だ。5月の「母の日」を前に開いたカーネーションの販売会も長い列ができた。相馬野馬追(のまおい)ゆかりの「流れ山踊り」などの伝統芸能も学校を挙げて伝えている。
生徒は原発事故で半年間、相馬市の県立相馬高校で間借り生活を送った。ショップは2012年度、他県産の材料による加工品を中心に再開。農作物も、農場で放射性物質の除染をしたり、トマトの水耕栽培に挑戦したり少しずつ拡充している。
ショップは今年度、12月までほぼ月1回のペースで開いていく。食品科学科の生徒がレジ打ちや接客、加工品の調理を担当。顧客のアンケートなども行って商品開発に生かしている。農産品や花は、生産環境科の生徒が育てた。
6月20日の2回目は、買い物客約60人が訪れた。あんパン(60円)▽イチゴジャム(300円)▽トマト(1袋300円)▽ブルーサルビア(1鉢60円)−−など17点を販売した。市内の常連客の女性(51)は商品でいっぱいの袋を両手に抱え、「毎回楽しみにしているので、ひと通り買いました。特にあんパンがおいしいですね」と話した。
初めて店頭に立った2年の佐藤好恵さん(16)は「緊張したけど楽しかった。活気のあるお店にしたい」とほほ笑んだ。山田みどり教諭(40)は「地域の皆さんに喜ばれるのが、何よりの励み」と語った。