農and食・全国農業コンクール:「伝えたい。農の復興・底力」テーマに きょう福島で開幕(その1)

毎日新聞 2013年07月18日 東京朝刊

 ◇「復興の道」を前進

 「伝えたい。ふくしま農の復興・底力」をテーマに「第62回全国農業コンクール」全国大会(主催=毎日新聞社、福島県▽共催=同県郡山市、福島民報社▽後援=農林水産省など▽協賛=東京農大、日本農薬、東日本旅客鉄道など)が18日、福島県郡山市で開かれる。東日本大震災では、地震、津波などで、福島、青森、岩手、宮城など東北地方の農業に、風評被害も含めて大きな打撃を与えた。震災被害を乗り越え再建し、新たな取り組みを始め、観光客誘致を図る「前進する農業」の今を伝える。

 ◇津波で残った山と向き合い「復活の薪」作り−−岩手・大槌町「吉里吉里国」

 東日本大震災で人口の約1割が犠牲となった岩手県大槌(おおつち)町。同町吉里吉里(きりきり)で「地元主体の復興を」と、震災から約9カ月後に被災者有志が設立したNPO法人「吉里吉里国」が森林整備に取り組む。

 理事長の芳賀正彦さん(65)は震災直後、たき火に使うため避難所に運び込まれるがれきと化した住宅の梁(はり)や柱を見て思った。「豊かな海は消え、町も消えた。津波前と同じ状態で残っているのは山々だけだ。海を再生させるためにも山に向き合う必要がある」

 震災約2カ月後に有志が集い、人力で住宅廃材を拾い集めて薪(まき)作りを始めた。「復活の薪」(10キロ、500円)の誕生だった。全国から注文が舞い込んだ。現在は、海水をかぶり立ち枯れした塩害木や、山林の間伐材を利用して薪作りを続ける。

 中心メンバーは10人ほどだが、宿泊場所を設け、内外のボランティアの協力も受けている。壊滅的なダメージを受けた地域経済の復興への取り組みとしても期待がかかり、行政によるがれき処理の負担軽減にも寄与。これまで50トン以上の薪を生産しながら被災者の自立や生活再建につなげてきた。

 メンバーの木村孝幸さん(51)は「間伐している樹木は祖先が残した財産。だから、私たちも未来の町や次世代を思いながら活動を持続させなければ」と、自然と折り合いをつけて生きてきた先人を尊ぶ。

 最近は、子どもたちを対象に森林教室を開くなど、未来を視野に活動を広げている。漁師らの副業として、自分の山を自分で切る「自伐林業」の普及、薪ストーブの利用、木工製品やオイルなど新たな商品開発にも挑戦している。

 「復活の薪」の問い合わせは電話0193・43・1018。【高尾具成】

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