無職 舛本屋悌二(山口県 65)
原発の新規制基準の施行後、再稼働に必要とされる安全審査の申請が電力各社から、原子力規制委員会に相次いだ。安倍政権はこの安全審査をクリアすれば、基本的に再稼働を認める方針だ。だが、福島第一原発事故を契機として指摘された原発の様々な問題は何一つ解決していないと思う。再稼働の是非を規制基準だけで議論するのは問題の矮小(わいしょう)化ではないか。
最大の問題は放射性廃棄物の処理だ。原発由来の放射性廃棄物は、使用済み核燃料と廃炉や除染で生じる廃棄物に大別される。使用済み核燃料は中間貯蔵施設で保管されているが、ごく近い将来満杯が予想される。除染などで生じるがれきなどの放射性廃棄物は仮置き場の決定すら難航し、福島第一原発の汚染水に至ってはタンクを林立してしのいでいる状況だ。