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恩義か異議か 福島第1原発元労働者の投票は?

 河北新報社は元福島第1原発労働者で原発事故の避難者でもある男性6人に2009年衆院選、10年参院選、12年衆院選でどの党の候補者に投票したのかを聞き、その上で、今回の参院選(21日投票)でどんな投票行動をするのかを尋ねた。働く場を提供してくれたことへの恩義か、古里を喪失させられたことに対する異議か。原発再稼働に前向きな自民党の優勢が伝えられる中、選択権を行使する元労働者の胸中は複雑だ。

 福島県双葉町のAさん(65)は過去3回の国政選挙でいずれも自民党の候補者に入れた。原発作業員として20年以上働いて退職した。原発事故で福島市の仮設住宅に避難している。自民党の国策の犠牲者とも言えるが、「結局、頼りになるのは自民党。反原発と今更言っても仕方ない」と今回も自民党に投じる。
 約20年間、原発の定期点検作業に従事した双葉町出身のBさん(65)は今回、「人物本位」で自民党の候補者を選ぶ。民主党に投じた09年衆院選以降、投票基準が「党より人」に変わった。原発再稼働に賛成で「第1、第2原発を期間限定で再稼働し、収益を賠償金に充ててほしい」と話す。
 双葉町のCさん(71)は今回、初めて非自民を選択する。作業員歴約40年。福島市に避難し「この年齢で仮設住宅暮らしを余儀なくされた。生活の見通しが立たないのに原発推進の党は選べない」と述べる。
 「消去法で民主党」と語るのは同県川俣町の仮設住宅で暮らす元原発警備員のDさん(78)。国政選挙では決まって自民党を支持したが、「原発事故の現状を見れば、自民党の原発再稼働の積極姿勢はあり得ない」と決別を宣言する。
 「壊れて直せない物は造っていけない」。同県浪江町から福島市の仮設住宅に避難するEさん(57)は事故を機に、考えを原発推進から脱原発に百八十度変えた。12年衆院選に続き、共産党に入れる。「各党の議員が仮設住宅に来て話を聞いてくれたが、生活改善に向けて実際に動いてくれたのは共産党だけだった」と評価する。
 浪江町から福島市に避難するFさん(65)は「自分の1票で避難生活が改善されるのかどうか疑問」と政治不信を募らせる。12年衆院選は仮設住宅近くの投票所に足を運んだが、「この人」と思える候補が見つからず、白票を投じた。今回は棄権する可能性が高いという。


2013年07月18日木曜日


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