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岐路に立つ憲法。その60年余を見つめ直します
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【工場けんがく! 北関東ものづくり探訪】産業廃棄物は宝の山 モノ:ファクトリー(群馬県前橋市)
産業廃棄物のイメージを変えたい。そんな思いから廃棄物中間処理業者「ナカダイ」=東京都=は三年前、前橋市駒形町の工場の一角に「モノ‥ファクトリー」をオープンし、見学会やイベントを始めた。さまざまな色や形をした廃棄物をひと目見ようと、全国からデザイナーや建築家らが足を運んでいる。 「いつ来てもらっても違う物がありますよ」 リマーケティング課の河西桃子さん(24)が語るように工場内を進むと、次々と異なる廃棄物が目に入ってくる。 自転車やパソコン、車のバンパーや信号機、木のうすなど原形をとどめているものから、元は何の一部だったか分からない部品もある。辺りに漂う甘いにおいの源は、シャンプーや洗剤のポリタンク。中を洗浄した上で、廃棄物を仕分けるコンテナとして再利用している。 ところどころで従業員が機械の部品でいっぱいの作業台で手を動かしている。河西さんが「選別しています。細かく分けるほど高く売れるので重要な作業です」と説明する。 材質の表記がないプラスチックの場合は、さわり心地や燃やした臭いで区別するそうだ。電子基板は見た目で金の含有量が多い順に仕分ける。それを専門業者が買い取り、細かく砕いて溶かし、金を抽出する。 選別された物を圧縮したり、溶融したりする作業も見学できる。 人気は金属プレス機。自転車や一斗缶などを輸送しやすいように圧縮する装置だ。年に数回、開かれるイベントでは磁石クレーンで金属をつかみ、金属プレス機の入り口まで運んで落とす体験もできる。 見学コースの最後は、モノ‥ファクトリーだ。ずらりと並んだ棚に色も形も多彩な部品が入った小箱がズラリと並ぶ。 一見、何の役にも立たないごみでも、誰かが素材として価値を見いだすかもしれない。そんな視点で社員が廃棄物の中からえりすぐり、同社で初めての美大出身者、河西さんの目にかなったものが運び込まれる仕組みだ。 これまで社員研修や小学校の社会科見学を含め、三千人が見学に訪れている。中でもデザイナーや建築家、美大生などアート分野の関心が強いという。 河西さんは「かわいい部品、かっこいい素材を見ると産廃のイメージが変わりますよ」と来場を呼び掛ける。(伊藤弘喜) ◆メモモノ‥ファクトリー 電車はJR両毛線・駒形駅から徒歩10分。車は北関東自動車道・駒形ICから2分。見学は平日午前10時〜午後5時。要予約。所要時間は1時間半。大人1050円、中学生以下525円。申し込みはホームページか電話=027(266)5103=で。
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