この「JAにったみどり」の橋場正和組合長は、これまでは「宿敵」だったはずの共産党の応援を公然と始めた。共産党の機関紙「しんぶん赤旗」によると、13年7月16日に店橋世津子(たなはし・せつこ)候補がJR高崎駅前で街頭演説した。応援に立った橋場組合長は、約40年にわたって支援を続けてきた自民党を脱退したことを明かした上で、
「命の続く限り、共産党を支持する。生活を守れるのは共産党以外にありません」
と共産党支持を告白。演説を聴いた市田忠義書記局長は、
「率直にそこまで言っていただいた応援演説は初めてです」
などと感動したという。
JAにったみどりの担当者によると、共産党支持は橋場組合長の個人的な意向に過ぎず、組織としての立場は、あくでも「自主投票」だとしている。
ただ、7月17日昼には、共産党の店橋候補は、
「JAさんのご好意で、近くで演説させていただきました」
とツイートしており、組織的な支援が行われている可能性もありそうだ。
12年衆院選では当選した自民候補の7割が「TPP反対」
JAが共産党支持に転じるのは今回が初めてではなく、12年12月の参院選では青森県内のJAグループが民主党候補の推薦を見送って共産党候補を推薦していた。山梨県の一部JAでは「TPP断固阻止」の党ポスターを張り出す動きもあったという。
赤旗は13年3月の時点で、12年12月の衆院選で当選した自民党議員について選挙公報などの記載を調査。
「295人(選挙後復党した福岡6区の鳩山邦夫議員を含む)のうち、205人が選挙公約でTPP参加に『反対』を表明し、全体の69.5%を占めることが本紙の調査でわかりました。『これでは公約違反だ』『自民党は政権公約を守れ』の怒りの声が全国各地であがっています」
と、衆院選段階では大半の議員がTPP反対を表明していたことを指摘している。共産党は自民議員の「手のひら返し」を批判しており、一連のキャンペーンが成功して共産党支持につながった可能性もある。