大分−名古屋 大分に勝利し喜ぶ名古屋イレブン=大分銀行ドームで(佐伯友章撮影)
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名古屋グランパスは玉田と小川のゴールで大分に2−1と逃げ切り、2連勝。勝ち点21の12位で前半戦を終えた。昨季王者の広島は得点王争いトップの佐藤の13点目などで仙台に2−0で快勝し、4連勝で勝ち点を36として大宮と並び、得失点差で今季初の首位に立った。大宮は終了直前のPKで失点して川崎に2−3で敗れ、2位に後退。東アジア・カップのため中断し、31日に再開する。
◆名古屋2−1大分
勝利を告げるホイッスルに、ストイコビッチ監督は誇らしげに両手を天に突き上げた。遠い、蒸し暑い、4連戦の最後という過酷な一戦を見事に制し、3月以来の連勝。アウェー連敗も5で止めた。そして、自信に満ちたピクシー節が戻ってきた。
試合後の会見、目標の上方修正を問われると目を見開いて言った。「J1に残留するという目標はジョークだ。まさかそれを本気にしていたのか? 名古屋というチームはJ2には落ちない」。堂々たる前言撤回だ。
ほんの12日前のことだ。リーグ再開初戦の清水戦前日には昨年のG大阪の例を挙げ、「前半戦の状況や今の順位を見れば明らか。われわれのターゲットはJ1残留になる」と語っていた。勝ち点12の14位で、残留争いに巻き込まれているのは誰の目にも明らかだった。それから4試合で勝ち点9を積み上げ、リーグ半分を消化した17試合で勝ち点は「21」に。J1残留ラインと言われる勝ち点40ペースに達した。
揺らいでいた立場も再び固めた。5連敗を喫した5月25日のC大阪戦後、久米GMは即時監督解任を否定。一方で17節終了時点での成績次第で体制を見直すことを明かしていた。リーグ再開時、ひそかに課されていたノルマはこの4連戦で勝ち点7。もし大分戦を落とせば、次節までの2週間で解任を検討されてもおかしくはなかった。
だからこそ、6月の飛騨古川キャンプは自身のキャリアをかけた10日間だった。久米GMには「このキャンプに危機感を持って臨む。もう一度しっかりと立て直す」と宣言。ジュロヴスキーコーチの戦術論に真剣に耳を傾け、自身初めて主力選手との面談も実施した。就任6年目での最大の危機に、なりふり構わぬ姿勢を見せた。
とはいえ、楢崎や藤本が強調したように、まだまだ安心はできない。「J2には落ちない」と言った自身の言葉を現実とするためにも、31日の鹿島戦に向け、上位にも勝てるグランパスをつくり上げる。 (宮崎厚志)
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