■23度でも「暑い」大江戸線、車両構造に制約
関東各社の中で、突出して低かったのが都営地下鉄大江戸線だった。設定温度はなんと23度。なぜここまで低いのか。寒くならないのか。東京都の担当者に理由を聞いた。
「大江戸線は車両が他の路線より小さいため、冷房機器も小さいものしか付けられませんでした。20畳の部屋に6畳用のクーラーを付けているようなもので、フルパワーで回さないと車内を冷やせないのです」(交通局運転課)
東京都によると、23度に設定してもまだ「暑い」との苦情が寄せられているという。担当者も利きが悪いのは認めている。コスト削減努力が、思わぬところに影を落としている。
車両構造上の制約は、別の部分にも影響を与えた。送風機だ。
天井に取り付ける細長い送風機は、車内の空気をかき回し、冷房効率を高める。しかし大江戸線の場合、パンタグラフがある車両の天井部分に余裕がなく、長らく送風機が付けられなかったという。パンタグラフがある車両は2、4、5、7号車。この4つの車両は特に暑かった。
そこで東京都は少しでも事態が改善するよう、弱冷房車の変更に踏み切る。2005年7月、これまで6号車に設定していた弱冷房車を、5号車に変えたのだ。送風機が付けられず、より冷えにくい5号車を弱冷房車にすれば、せめて6号車は少しでも涼しくなる、との判断だった。
2008年には送風機の改良が進み、ようやくパンタグラフ下の天井にも小さな送風機が付けられるようになった。パワー不足は否めないものの、以前よりは多少、涼しくなっているようだ。
■東京メトロ、車掌が内外の温度を体感してチェック
それにしてもこの電車の温度設定、一日中同じ温度に設定しているのだろうか。外気温や混み具合で変わらないのだろうか。
「自動モードもありますが、車掌が状況を見てスイッチを入れたり切ったりしています」
東京メトロでは、毎朝その日の空調管理の指針をまとめ、車掌に伝えているという。
天気予報のチェックはもちろん、時間帯ごとに混雑具合を読み、早めにスイッチを入れたり切ったりしている。さらには「実際に車両ではどんな状態になっているか、こまめに体感するよう車掌に指示しています」(運転課)。車掌室から出て乗客と同じ車両に入ることによって、冷房の利き具合を確認しているのだ。
JR東日本、東京メトロ、東京急行電鉄、小田急電鉄、京王帝都電鉄、京成電鉄、南海電気鉄道、大江戸線、名古屋鉄道、阪神電鉄、冷房
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