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巨大地震の衝撃 日本よ! 毎日新聞「特集ワイド」から(つづき)

7月13日付「巨大地震の衝撃 日本よ!」の続きになります。
(40年前から原発の危険性を、わたし(鎌田慧)は多くの著作をつうじて訴えてきたが、政府、官僚、電気事業連合会、経団連、学者にマスコミが一体となった、戦時体制ならぬ原発体制の仕掛ける「総力戦」の前に、ほとんど抵抗してこなかった)

大間原発訴訟の会 青森県で生まれた。古里には、東北電力の東通原発のほか、建設中の東通原発(東電)や大間原発(Jパワー=電源開発)、さらに「核のゴミ捨て場」とされる使用済み核燃料再処理施設(六ケ所村)がある。
 「立地点を見てください。へき地過疎地、政治の光が当たらなかった地域ばかりです」 
 計画が進めば、工事用の道が通り、港ができ、建設業者が潤う。雇用も生まれる。完成すれば、固定資産税が入るし、国からは多大な関連交付金が流れてくる。電力会社もハコモノ造りのためなどに寄付金を贈ってくれる。 
 「原発ほどカネで人心を惑わす汚い事業はないですよ。危ない物は1墓でも2基でも同じと、地元は次々に受け入れる。毒まんじゅうです」。

 飛行機も落ちるかもしれないが、まあ大丈夫だろうと自分の意思でスピードを買っている。しかし原発は、地元首長や議会が賛成すれば、反対運動はあっても建設される。 
 「首長たちは原発に伴うカネを『メリット』と呼び、安全は『国が保証している』と思考停止。政府と電力会社のモルヒネのようなカネ漬け攻勢です」。
 最終的にそのカネは、電気料金に上乗せされていく。
 
 今、福島の現場ではどれほどの人々が被ばくの恐怖と闘いながら作業を続けているのだろう。鎌田さんは、自動車工場での非正規労働者の「非人間的な労働」をルポしたことがある。作業員を「日常的に被ばくさせる」原発の労働環境もずっと批判してきた。 

 電力会社や原発メーカーの下請け社員募集は、ネット上に流れている。事故後は「日給3万円(3時間勤務)」の急募もあった。
 「僕は彼らに『行くな』と言えない。でも自分の家族が行くとなったら、体をはって止めるでしょう。健康状態に10年後、どんな影響が出てくるか。私たちの繁栄は誰かを『踏み台』にして成り立っている。その想像力の欠如こそ原発体制の罪なんです」 

9月1日さようなら原発 鎌田さんは原発の段階的な廃止を訴える10万人規模の集会を9月に都内で開く予定だ。大企業の労組は当てにしない。個人の参加に期待する。
 「これまで原発の建設と安全宣伝につぎ込んできた何兆円ものカネを今度は、自然エネルギーに特化する」。
 そうでもしないと、自身の苦しみは清算されないと感じている。
 「原発反対と書き続けながら大事故を防げなかった。僕も切迫感が足りなかった」。
 福島の事故で故郷を離れざるを得ない人たちや、被ばくした人たちからの批判は反対派も免れないだろうと思っている。
 「対決の思想と行動が弱かった」と。

 時間はあまりない。東海地震は今世紀前半に発生すると予想されている。震源域には浜岡原発がある。
 「日本は2個目の原爆を落とされるまで負けを認めなかった。その愚を再び繰り返すつもりなのか」 

 鎌田さんと別れて、地下鉄のホームに向かう。果たして原発のない社会は実現できるのか。世論は二つに分かれているようだ。胸のポケットに入れた携帯電話が鈍い音を立て始めた。また、緊急地震速報だ。

「毎日新聞」(特集ワイド)【根本太一】、2013年4月28日夕刊
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