債券は上昇、5年債入札結果順調で買い優勢-議会証言控えて上値限定
7月17日(ブルームバーグ):債券相場は上昇。前日の米国市場が株安・債券高となったほか、きょう実施の5年利付国債の入札結果が順調だったことから買いが優勢となった。もっとも、日本時間の今晩にバーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長の議会証言を控えて、相場上昇は限定的だった。
東京先物市場で中心限月の9月物は前日比6銭高の143円17銭で開始。しばらく横ばい圏でもみ合いとなり、株安が進むと水準を切り上げた。午後零時45分の入札結果発表後には上げ幅を拡大し、一時143円26銭まで上昇したが、引けにかけては伸び悩み、結局11銭高の143円22銭で終えた。
現物債市場で長期金利 の指標となる新発10年物国債の329回債利回りは同0.5ベーシスポイント(bp)低い0.82%で開始。午前の終了前に0.825%を付けたが、午後に入ると水準を切り下げ、一時は0.815%に低下。午後2時前から0.82%。5年物の112回債利回りは入札結果を受けて1bp低い0.29%に低下した。20年物の145回債利回りは1.5bp低い1.71%。30年物の39回債利回りは2bp低い1.835%で推移した。
財務省がこの日実施した表面利率0.3%の5年利付国債(113回債)の入札結果によると、最低落札価格は100円01銭と事前予想を1銭上回った。小さければ好調とされるテール(最低と平均落札価格との差)は1銭と前回の2銭から縮小。投資家需要の強さを示す応札倍率は4.28倍と前回の4.36倍からやや低下した。
ソシエテ・ジェネラル証券の菅原琢磨シニア円債ストラテジストは、5年債入札結果について、「ここもとのボラティリティ低下と市場環境の好転を反映してしっかり。好調な結果だった」と分析。一方、目先の注目はバーナンキ議長の議会証言だとし、米金利の落ち着きどころを探るという意味で、「議長の証言をどう消化していくのかがポイントだ」と話した。
議会証言バーナンキFRB議長は17日に米下院、18日には米上院で議会証言を行う。同議長は2014年1月末の任期満了前の量的緩和の出口政策に道筋をつけたいとみられているが、米金利が急上昇すれば米景気に冷や水を浴びせる可能性が出てくる。16日の米国市場では、議会証言で市場の緩和策縮小観測を抑えようとするとの見方が広がり、米10年国債利回り は同1bp低い2.53%に低下した。
野村証券の松沢中チーフストラテジストは、前日の海外市場はあえて言えばリスクオフ(回避)で、債券や為替はバーナンキ議長の議会証言に向けて緩和的な発言が出てくることを見込んだ動きになったと説明。「ドル安・株安が追い風」と指摘していた。
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更新日時: 2013/07/17 15:43 JST