支局長だより:自転車のまち=川崎支局長・渡辺精一 /神奈川

毎日新聞 2013年07月15日 地方版

 「懐かしい。昔は北京でも皆自転車に乗っていた」。川崎を訪れてくれた中国人エコノミストが感慨深げにつぶやいた。

 あながち誇張でもない。JR川崎駅の東口、川崎区中心部は「自転車のまち」だ。起伏が少なく日常の足として便利なためだろう。国道15号の交差点で信号待ちをしていた数十台が一斉に通りを渡る様は圧巻。自転車分担率(主な交通手段として自転車を利用する人の割合)は25%を超え、自転車通勤奨励策を採る欧州の環境都市に並ぶ。川崎市の運輸部門の二酸化炭素排出量が全国の政令市で最も低いのもおそらくこれと無関係でない。

 だが、そのぶん歩行者との接触など事故も多発している。川崎区では自転車の絡む交通事故が全体の4割と県内トップ(県平均は23%)。目抜き通りの歩道では多くの自転車が人混みをぐいぐいすり抜け、事故に至らずとも、ひやりとさせられることはしばしばだ。

 こうした中、新たな取り組みが始まった。駅前から伸びる市役所通りの歩道では、秋の完成に向け、歩行者と自転車の通行を分離する工事が進行中。放置自転車があふれていた駐輪場を撤去して道幅を広げ、自転車通行帯(幅2・5メートル)と歩行空間(同3・5メートル)を確保した。自転車は車道通行が原則だが、ピークで1時間に300台のバスが運行するなど交通量が多いため歩道分離を決めた。2009年秋に2週間かけて行った社会実験で歩行者の8割が安全性が「向上した」と評価した成果を踏まえており、並行する新川通りでも同様の整備を進める。

 自転車は環境に優しい交通手段だが、ともすれば凶器ともなりうる。自転車と歩行者が安心して共存できるまちづくりが動き出すことを見守りたい。

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