公益社団法人「自由報道協会」の代表であった上杉隆氏(45)が5月17日、協会に辞表を提出した。後任には、大貫康雄氏の就任が決まった。なお、同協会の事務所は、現在の千代田区平河町にあったものを5月25日までとし、中央区勝ちどきに移転することになった。
上杉氏は同協会が発足した2011年より代表を務め、大手メディアと記者クラブ制度による情報発信が、政府及び官僚、利権者のための情報操作の余地を与えていることを批判してきた。現在は、モデルでタレントの知花くららさん(31)との交際に関し、芸能界をにぎわしている。
上杉氏は、協会関係者にむけて「 2年強でしたが、公益法人自由報道協会をここまで育てていただきたいた皆様には感謝の言葉しかありません。 今後は理事の立場で協会を支えていただきたいと思います」とのコメントを表明している。
大手メディアは、自らが大資本利権者であり、権力の擁護のもとにあることを、隠ぺいしながら、あたかも公平な情報発信者のごとく正義の使者を装って、体制に協力し、誤った方向に国民を扇動してきた歴史がある。
上杉氏はかつての政界人秘書時代の経験、人脈を活かしフリージャーナリストの活動のために自由報道協会を設立した。運営には賛同者からの寄付を募り、自らも資金提供を行ってきた。
協会独自に、大手メディアの偏向報道に対抗することを意識して、話題の人の独自記者会見を多く実施してきた。「自由報道協会」を公益社団法人にするのにも力を注いだ。
しかし、事務所運営には、人件費、会見用会場の確保など経費がかかり、最近は資金不足によって活動が低迷していた。また、上杉氏の情報発信の仕方が、独自の波及効果を狙って、大衆刺激型の大げさなスタイルである。そのエンターティナー的体質のため、現体制の維持を擁護する立場のジャーナリズムより、その情報源のあいまいさや、大手メディアの記事盗用疑惑などの反上杉的情報のリークが行われてきた。それでも、彼への批判を社会的に広がることは、その自らの自己保存の在り方を公にすることになり、また上杉氏のエンーティナー的ジャーナリズムを広めることになるためか、大きな力になっていない。
なかでも上杉氏が「読売新聞記事の盗用」ということで裁判沙汰になっているという話があるようだが、読売新聞が問題にしないでいる?(のかな)ものを――読売新聞の記事は事実で誤報ではないらしい――なぜ、問題にするのか動機が不明である。
いずれにしても同協会による情報発信は、上杉氏の人脈提供に頼るところが多く、また上杉氏の理想主義的な趣向によるものか、資金調達について企業などからの支援をうけることに消極的なため、世俗社会的な存立条件に弱点があるのが課題であろう。