−渡辺喜美代表は「改憲の前にやるべきことがある」と強調するが、改憲派なのか。

　「現行憲法では実現できない一院制や首相公選制を訴えている以上、改憲派だ。ただ緊急に取り組むべき課題は経済成長や景気の活性化。生死にかかわる病気（経済）で倒れているときに、慢性病（憲法）の治療を先行させるべきではない」

　−九六条を変え、改憲の発議要件を緩和することに賛成か。

　「改憲してはならないという国民の意識が強い日本では、衆参両院で三分の二の賛成が必要というのは厳しすぎる。九六条は国民が憲法について考える機会を奪い、思考停止をもたらしている」

　−改憲の前にやるべきだと主張する公務員制度改革などが実現すれば、九六条先行改憲も認めるのか。

　「否定はしないが、改憲の中身を提示しないのは好ましくない。各党が具体的な改憲試案を出す必要がある。自民党や日本維新の会と改憲派でひとくくりにされるが（両党が）復古調で国家主義的な主張を貫くなら、九六条の改憲にも協力できない」

　−改憲への協力と引き換えに、安倍政権に個別政策の実現を迫るつもりでは。

　「次元の違う話だ。憲法を交渉の手段にはしない」

　−九条への考え方が分かりにくい。

　「憲法をそのまま読めば自衛隊は持てない。普通の国と同じような防衛体制は規定すべきだ。集団的自衛権行使も条件次第で選択肢に入る」　（聞き手・生島章弘）