憲法を聞く (3)公明 斉藤鉄夫 党憲法調査会長代理
−憲法では連立政権を組む自民党と考えが異なる部分が多い。
「別の政党だから、意見が百パーセント一致することはあり得ない。自民党が改憲草案で家族のあり方を定めたり、(人権を制約するものを)『公共の福祉』から『公益および公の秩序』に言い換えた部分は賛同できない」
−共通公約を作らなかったのは違いが際立つのを避けるためか。
「違う。昨年の衆院選から半年しかたっておらず、政策に大きな変化はないからだ。連立政権の政策合意では、国会を通じて憲法論議を深めることになっている。議論を避けているわけではない」
−改憲の発議要件を緩和する九六条の変更に反対しているが、一部の条文は緩和してもいいとの意見がある。
「全ての項目で三分の二を保つと主張しては、自民党との接点がなくなってしまう。新しい人権を書き加えたり、地方自治のあり方を明確にすることは党内で議論が始まっている。ただし基本的人権の尊重、国民主権、平和主義の三原則や、天皇制など重要な項目は必ず三分の二を守る」
−与党の座を捨てても妥協しないと言い切れるか。
「大切な部分で妥協してしまったら、有権者から見捨てられ、党の存在意義に関わる」
−参院選後に改憲を急ぐ自民党の「ブレーキ役」となれるか。
「選挙後はおそらく集団的自衛権の行使に向けた憲法解釈の見直しが話題になる。解釈変更の必要はないと考えているので、反対していく」(聞き手・上野実輝彦)