中国農業省は10日、中国漁船が北朝鮮の東側海域(東海〈日本海〉)で操業することを全面的に禁止したと発表した。6月末に行われた中朝両国の民間による漁業交渉が決裂したのが理由だという。
中国官営の環球時報などによると、中国農業省漁業局は先月28日、全国の省・市に対し、北朝鮮の東側海域での操業禁止令を電撃的に通達。漁業局はまた、今月8日に公式サイトに「禁止令に背き、個別のルートを利用して北朝鮮の東側海域で操業した場合、不法出国および密輸などの容疑を適用し、厳しく刑事責任を問う」という警告文を掲載した。
これは、東海で操業する中国漁船に事実上の撤収令を出したものだ。北朝鮮はこれまで、中国漁船から数千万ドル(数十億円)に上る入漁料を徴収してきたが、今回の中国側の措置に伴い大きな打撃を受けるとみられる。
中国は2004年、中国遠洋漁業協会と北朝鮮共同漁労協会による民間ルートを通じ、漁業協定を締結、毎年一定の入漁料を支払って北朝鮮の東側海域で操業を続けてきた。漁船の数も毎年増加し、昨年は1400隻以上に達していた。
だが中国農業省によると、今年は北朝鮮が「東海で操業する中国漁船が必要とする燃料を、北朝鮮側で一括供給する」と新たな条件を主張し、交渉が決裂したという。中国漁船はこれまで燃料を自分たちで調達していた。中国農業省は「北朝鮮側のこのような決定は、中国漁船の正常な操業や経営、安全に重大な影響を及ぼすのもので、大きな潜在的危険を招く恐れがある」とコメントした。
中国農業省が中朝両国の民間による漁業交渉の決裂を公然と明らかにし、自国の漁船に撤収令を出したのは極めて異例のことだ。北京の北朝鮮消息筋は「中国は今年に入り、北朝鮮労働者の在留資格審査や税関での通関などを、原則に基づいて徹底的に実施している。漁業分野でも北朝鮮側のごり押しをこれ以上許さないつもりだろう」と語った。