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名古屋いじめ自殺事件、担任の漆原教諭を実名で報道すべきだ

2013年07月17日 02時43分07秒 | 政治

 あまりニュースに対して持論を書くことはしませんが、今回のこの事件については書きたいと思います。テレビで連日のように放送されている名古屋市立明豊中学校の中2男子自殺事件です。事件の詳細は新聞記事や、こちらのまとめをご覧ください。


 いじめや体罰等の学校事件が起こるたびに常々思っていることなんですが、死者が出るに至るような深刻な事例の場合、報道機関は、教諭の実名と顔写真を報道すべきです。教諭の記者会見の様子も報道すべきです。今回の名古屋の事件の場合、担任の漆原教諭について、年齢(31歳)、性別(女性)、担当科目(理科)だけでなく、氏名・顔写真も報道すべきなのです。なぜそんなことを言うのか?


 理由(1)。まず、すべての教員は「公人」といいうるからです。教員は、壇上に立ち、たいていの場合は計100人以上の大勢の生徒に教える職業です。上の上に立つ職業であること、「先生」という尊敬を伴う呼称で呼ばれること、人の模範として発言・行動に気をつけなければならないこと。こういった点で、政治家や弁護士などと何ら変わりません。そう考えれば、まったくの一私人と同様にプライバシーを保護すべきではありません。

(私見とは若干違いますが、ここのサイトも参照。)

 また、大阪府立桜宮高校の事件の小村基元教諭や愛知県豊川工業高校陸上部の渡辺正昭教諭のように、大規模の大会に出場するチームを引率・監督する地位にある者には、「公人」としての責任がより強く伴います。常勝の強豪チームともなれば、メディアに露出する機会も、指導者として受ける称賛も多くなります。その反面、不祥事を起こした際に覆い被さる責任も重くなります。

(小村教諭は現場で約20年も指導にあたり、桜宮高校を屈指の強豪に育てた「部の顔」で、自らの指導方法について取材を受けたり、雑誌に寄稿したりしており、少なくともこの業界内ではたいへん有名でした。渡辺教諭も同様に知名度が高く、指導DVDを定価16000円で販売するなどしていました。本や教材を出し、取材も受けて名前を売っておきながら、不祥事が起きると匿名で守られるというのはバランスを欠き不当でしょう。)

 

 理由(2)。「公務員」の地位にある者は人権制約を強く受けるからです。日本国憲法15条2項は「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない」とうたっています。公務員は国民全体のために尽くす「公僕」で、尽くすからこそ、給与が税金から支払われるのです。

 教職員による体罰やいじめ加担は、学校教育法や刑法に反します。公務員の法令違反は「国民への背信行為」であり、懲戒処分(行政上の制裁)や刑事罰(司法上の制裁)を受けることはもちろん、その公務員の氏名は「公共の利害に関する事実」として公表され、報道の対象となるのです。これは「実名を書かれる公務員の不利益」より「国民の知る利益」の方が優先されるということを意味します。


 理由(3)。児童・生徒を現場で指導にあたる「直接の責任者」だからです。本来なら、今回のような事件の発表の際、「現場の」今回の事件では、明豊中学校の佐々木昭久校長、教育委員会の森和久学校教育部長、さらに河村たかし名古屋市長が「責任者」として会見に臨んでいました。市長が同席したのは評価できます。しかし本来なら、現場にいて事情をよく知る「直接の責任者」こそが出席し、説明すべきではないでしょうか。そして他の責任者と同様に、実名と顔を出すべきなのです。

(もっとも、不祥事があると逃げたり隠れたりする教員がほとんどの中で、漆原教諭が記者会見を開いて対応を説明した点は評価できます。とはいえ、いじめへの加担や、自殺教唆ともとれる発言を〈完全否定〉し、生徒と証言が真っ向から食い違っているので、今後の検証が注視されますが。)


 理由(4)。教員への制裁、同様の事件の予防です。実名報道により当然、批判の矢面に立たされますが、自ら命を絶ったというような重大事件ならばやむをえません。児童・生徒の「直接の責任者」として、自らの行為に対して課される社会的制裁として甘受すべきです。教職員が職責の重さを自覚し、今回のような自殺者が出なくなるのであれば、むしろ効果的だと考えます。


 以上の理由から明確に分かるように、漆原教諭の氏名を報道することに問題ははないとみるべきです。「逃げずにこれは萎縮した態度で実名報道を控えているマスメディアがあるが、まったく不要な自主規制といわねばなりません(そのうち、週刊文春・新潮あたりが普通に書くと思いますし、書いてもらいたいものですが)。堂々と実名報道すればよいのです。

 

英国式事件報道―なぜ実名にこだわるのか 澤 康臣 

 

ジャンル:
政治
キーワード
明豊中学校 名古屋市長 社会的制裁 河村たかし 教育委員会 日本国憲法 学校教育法
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