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再送-〔アングル〕浜田氏が小刻み消費増税提唱、景気配慮へ折衷案

2013年 07月 16日 14:12 JST
 
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(浜田氏の肩書を修正して再送しました)

[東京 16日 ロイター] - 安倍晋三首相のアドバイザーである浜田宏一内閣官房参与(イエール大学名誉教授)が消費税増税について、来春の引き上げは2%にとどめて7%とし、その後、4─5年かけて10%まで税率を小刻みに積み上げるという緩衝策を提唱し始めた。現在の政府案通りに実施すると、上向き始めた国内景気が悪化しかねないとの判断が背景にある。実現には難しい面があるものの、首相の政治判断にどう影響するか注目される。

政府は来年4月から現行5%の消費税率を8%に引き上げ、15年4月には10%に再増税する方針を固めている。しかし、浜田氏は11日の名古屋での講演で、景気への影響が心配な場合は「なだらかに上げていくこともある」とし、「初めの年は2%、それから1%ずつ、4、5年かけて上げていく」方式を提唱した。

浜田氏も含め、いわゆるリフレ派の有識者は、大胆な金融緩和が人々のインフレ期待を高め、デフレ脱却につながるとの立場をとっており、消費税の増税は2%の物価目標が安定的に達成された後に実施するのが望ましいとの意見が多い。増税で消費者の購買力が低下すれば景気回復に水を差し、結果的に税収が下振れ増税目的が達成できない可能性を懸念しているためだ。 現在は日銀副総裁の岩田規久男氏も、副総裁就任直前に執筆し今春出版された著書でそのような見解を繰り返していた。

日銀の異次元緩和による円安・株高を背景に、国内景気は回復を示しており、来春の消費増税の是非を判断する目安とされる4─6月の国内総生産(GDP)は前期比年率3.0%(日本経済研究センター集計の民間エコノミスト調査)との予想もある。景気回復感が強まる中で、浜田氏など首相周辺のリフレ派は増税による景気下押しリスクへの懸念を強めている。

しかし、消費税増税は日本の財政立て直し策として海外投資家などからの注目度が高く、政府が引き上げ延期を打ち出せば、財政再建がとん挫したと見なされ長期金利が急上昇する可能性がある。一方、増税延期論者には、こうした国債暴落・金利急騰のシナリオは財務省と日銀の喧伝にすぎない、としてリスクを軽視する向きもあるが、これまでも先物市場などで海外投資家が主導する日本国債への売り浴びせの動きがあったと言われる。 

安倍政権は就任後、急激な円安に対する各国の理解を得るため、20カ国(G20)財務相・中央銀行総裁などで、大胆な金融緩和は財政再建とセットで進めると説明を繰り返してきた。増税延期は、財政再建を約束した日本の「公約」違反受け取られかねず、円安基調が一転して急激な円高に見舞われる可能性もあるという。

その中で折衷案として、首相ブレーンの間で浮上しつつあるのが1%ずつ小刻みに増税する案だ。増税はするので財政再建は進める姿勢を対外的に示しつつ、増税規模を小さくすることで景気下押し効果を弱め、駆け込み需要と反動なども小さくできるとみているようだ。

現時点で与党・政府関係者の間では新たな法改正を伴う小刻み増税案について現実的な政策オプションをみる声は少ないようだ。来春の消費増税は実施しつつ、増税の景気下押し圧力への対策として補正予算など財政・金融政策のフル出動で対応するのがメインシナリオのようにも見受けられる。

甘利明経済再生担当相は16日の閣議後会見で、浜田氏の提案について、「民主党政権下で消費増税法案は成立しており、このまま推移するとそれが実施される」と指摘。「基本的に予定された法案が実行できる環境づくりに全力を投入することに集中したい」とし、法案変更に難色を示した。

小刻みな増税案には、市場にも否定的な見方がある。シティグループ証券の道家映二チーフJGBストラテジストは、「1%ずつの増税では企業の事務コスト負担が大きい。経済効果も不透明であまり適切ではないのでは」と指摘している。 (ロイターニュース 竹本 能文;編集;北松克朗

 
 
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