UPDATE 1-対米証券投資、5月は長期債が売り越し FRBの緩和縮小観測受けた売り反映
(内容を追加しました) [ワシントン 16日 ロイター] - 米財務省が16日発表した5月の対米証券投 資統計によると、長期債投資が4カ月連続の売り越しとなった。なかでも民間部門の売り 越しが膨らみ、2008年11月以来の規模となった。 民間部門の米国債投資は290億ドルの売り越しとなり、1月以来の規模となった。 全般的には対米長期有価証券(株式スワップ等除く)投資は272億ドルの売り越しとな り、売り越し額は前月の218億ドルから拡大した。 バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長が5月22日の議会証言で、FRBが現 在月額850億ドルのペースで実施している資産買い入れの規模縮小に言及したことで、 米国債価格は急落した。民間部門による米国債の売りが大量に出た時期はこの時期と一致 する。 ただ、中央銀行を含む公的部門による米国債投資は403億ドルの買い越し。これに より、公的部門を含めた全般的な米財務省証券投資は113億ドルの買い越しとなり、前 月の383億ドルの売り越しから買い越しに転じた。 コモンウエルス・フォーリン・エクスチェンジの首席市場アナリスト、オマー・エシ ナー氏は、「長期債が売り越しとなったことは、FRBの緩和縮小観測から5月に米国債 が大幅に売られたことに関連している可能性がある」と述べた。 ただ、全般的な財務省証券投資が買い越しとなったことの背景には、安全資産への資 金の逃避があったと指摘。「FRBの緩和縮小観測が出てきたことで新興国を含む世界各 地で株価が下落するなど、5月は世界的に市場のボラティリティーが高まった。このため 、米国債に対する売りは、安全資産への資金流入で相殺される結果となった」と述べた。 国別の米財務省証券保有高は、最大の保有国の中国が1兆3159億ドルに増加した 。 一方、第2位の日本は1兆1110億ドルに減少。アナリストの間では、日銀が実施 している「異次元」緩和の結果、円安が進み日本国債利回りが低下することで、日本の投 資家による米資産への買いが加速するとの見方が出ている。 対米株式投資は86億ドルの売り越し。4月は112億ドルの買い越しだった。政府 機関債は103億ドルの売り越し。前月は228億ドルの買い越しだった。 社債は76億ドルの買い越し。前月は47億ドルの売り越しだった。 短期債を含む全般的な対米証券投資は564億ドルの買い越し。前月は283億ドル の買い越しだった。 *対米証券投資統計に関するグラフィックはこちらをご覧ください。 link.reuters.com/kaw93t 統計の詳細は以下のとおり。 (季節調整前、10億ドル、ネット) May April March 対米証券投資 56.4 28.3 -14.1 民間 46.4 57.9 -51.0 公的機関 10.0 -29.6 36.9 長期有価証券 -45.8 -41.5 -48.0 株式スワップ等 -18.6 -19.7 -18.4 長期有価証券(株式スワップ等除く) -27.2 -21.8 -29.6 対内証券 0.0 -9.0 -0.9 民間 -43.8 -1.8 -6.5 公的機関 43.8 -7.1 5.6 財務省証券 11.3 -38.3 -10.9 政府機関債 -10.3 22.8 9.5 株式 -8.6 11.2 6.8 社債 7.6 -4.7 -6.2 国別財務省証券保有(10億ドル) 中国(本土) 1315.9 1290.7 1270.3 日本 1111.0 1112.7 1114.3 石油輸出国 266.3 271.7 265.1 ブラジル 255.5 253.1 257.9 カリブ海諸国 253.2 284.1 283.9 台湾 189.4 185.7 188.9
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