おはようございます。
今朝はアメリカで行われている
産官学知的交流について。
14日(日) 日経13面 地球回覧
『米国磨くアスペンの夏
産官学が育む知的交流』
コロラド州アスペン。
毎年夏になると、
スキーで有名なこの山岳リゾートに
米国中から産官学の有力者たちが集まる。
その舞台は山麓にあるアスペン研究所だ。
研究所の起源は1949年、
ドイツの文豪ゲーテの生誕200年を記念した
国際会議にさかのぼる。
毎年、半世紀以上にわたって様々な分野の
有識者が機論を交わしてきたが、
多くは非公開で謎に包まれていた。
だが、9年前にジャーナリスト出身の
ウォルター・アイザックソン氏が理事長になると
変革が始まった。
討論の一部を公開し、研究所だけではなく
市内のホテルも使って討論会を開くようになった。
7月2日まで開かれた主要イベントの
「アスペン・アイデア・フェスティバル」に
足を運んでみた。
「彼は私や後任のガイトナー氏と違い
(銀行救済用の公的資金枠組みの)TARPを
擁護しなくてよいのです」
リーマン危機の起きた08年秋、
ブッシュ政権の財務長官として最前線にいた
ヘンリー・ポールソン氏は冗談まじりに、
就任4ヵ月余りのルー財務長官を
聴衆に紹介した。
「共和党のポールソン氏と
民主党のルー氏のように、党派は違っても
共通点を見いだそうとするのが
アスペンの議論の特徴」
とアイザックソン氏は言う。
党派対立が激しさを増すワシントンでは
政治の機能不全が指摘される。
アスペンならリラックスしながら
自由に議論できる。
出席者はノーネクタイ。短パン姿の人も多い。
同性婚を容認する歴史的な判決を
下したばかりの米最高裁のケーガン判事、
共和党保守派のカンター下院院内総務、
ルービン元財務長官、
投資ファンド・カーライル・グループ創業者の
ルーベンスタイン氏、
ナイ・ハーバード大教授、
チェリストのヨーヨー・マ氏など
出席者は多彩だ。
スイスのダボスで毎年冬に開かれる
世界経済フォーラムの参加者が
2000人を超えるのに対し、アスペンは
1回の規模を500~700人程度に絞る。
会議の模様は一部ネット上で動画公開を
始めたが、すべてをオープンにするわけではない。
「ルー氏は公開イベントで話した後で、
産業界トップと少人数の会合をもった。
この両方が必要だ」
アイザックソン氏は公開性と密室性のバランスが
重要と指摘する。
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こうした知的交流が継続されていることが、
アメリカの強さの背景となっているのでは
ないでしょうか。
公開性と密室性のバランスというのも
単なるパフォーマンスに終わらせずに
実質的な議論を深めていくポイントに
なっているように感じます。