長崎大学講演

12月10日、長崎大学医学部の客員教授となり、大学院生を対象とした第77回大学院セミナーにて「Global Healthと健康システム」と題した講演をしてきました。長崎大学医学部は、出島を通じた蘭学の系譜を背景に、明治維新直前にオランダの医師により基礎を含めた包括的な医学教育が行われたことを契機として発足した我が国最古の医学校です。

大学院医歯薬学総合研究科原爆後障害医療研究施設の山下俊一先生がこのセミナーの責任者でした。山下先生は、カザフスタンのロシアとの国境に沿った山岳地帯に近いセミパラチンスクで行われた原爆実験による被爆治療を支援するためにJICAと協力し献身的な努力をしてこられました。私も、外務政務次官の時に山下先生と一緒にセミパラチンスクにおける被爆治療等の医療協力の現場を視察したことがあります。

12月11日午前中、昨日の講演内容をもとに大学院生、医学部生ら10数名とディスカッションを中心にグローバルヘルスに関する勉強会をしました。長崎大学には、国際保健を含む保健学修士課程(MPH)があり、そこの学生さんたちも参加していました。私は、我が国に国際保健分野において政策人材が不足していることを指摘し、学生さん達に大いに奮起し政策人材として活躍してほしいとの期待を述べておきました。

 

長崎の美味とキリシタンの歴史

11日午後、日蓮宗實相寺の梶原一乗さんにご案内いただき佐世保近くの小さな漁港の脇にある割烹にて昼食をとりました。サバの刺身を初めて食べましたがこんなに美味しいものであるとは知りませんでした。伊勢海老の刺身と味噌汁、アラ等の煮付けも絶品で女房といっしょにお腹いっぱい頂戴しました。

この割烹の近くには、遠藤周作さんがこよなく愛したという絶景を楽しめる海岸に突き出た崖の上に遠藤さんの記念のミュージアムがあります。このあたりには「沈黙」を執筆した際の取材で来られていたのでしょう。梶原さんからは、この地域にはキリシタン信者が多く、キリスト教が禁止となった後に住民を改宗させるに際し受け皿となったのが日蓮宗であったというお話を伺いました。

今回は時間も限られていたのが残念でしたが、このあたりのお魚の美味しさ、海岸に沿った景色、キリシタンの歴史等もう一度ゆっくり来てみたいと思いました。

武見敬三