
今回の事故について、「分かっているなら、なぜお前は助けてやらなかったのか」という批判もいただきました。言い訳をしたくないので無視しようかとも思いましたが、説明しておきます。
二つの理由があります。一つは、私は小さな子どもを自分のクルマに乗せていた、と言うことです。小さな子どもを車に残して、高速道路の事故現場に飛び出していくことはできません。クルマの中にいたとしても危険ですし、私が路上に飛び出していけば、子どもも危険な路上に一緒に飛び出してくる可能性がありました。この場で、私にとって一番大切なこと、そしてすべきことは、この子どもを守ることでした。
もう一つの理由は道路交通法です。道路交通法には高速自動車道における交通方法の定めがあり、その中では「高速道路では駐停車禁止」となっています。たとえ、事故車両を誘導するためだとしても、高速道路上に車を駐車することは、法律で認められていません。参考に、ここに関わる条文を原文のまま紹介します。
第七十五条の八 自動車(これにより牽引されるための構造及び装置を有する車両を含む。以下この条において同じ。)は、高速自動車国道等においては、法令の規定若しくは警察官の命令により、又は危険を防止するため一時停止する場合のほか、停車し、又は駐車してはならない。ただし、次の各号のいずれかに掲げる場合においては、この限りでない。
一 駐車の用に供するため区画された場所において停車し、又は駐車するとき。
二 故障その他の理由により停車し、又は駐車することがやむを得ない場合において、停車又は駐車のため十分な幅員がある路肩又は路側帯に停車し、又は駐車するとき。
三 乗合自動車が、その属する運行系統に係る停留所において、乗客の乗降のため停車し、又は運行時間を調整するため駐車するとき。
四 料金支払いのため料金徴収所において停車するとき。
それでも、人命にかかわる事態であれば、私はこれを無視して救護に当たりたいと思いますけれどもね。(75条の8-2に該当するかもしれませんが)
私は、事故で動転してしまっているドライバーがいれば、可能な限り助けたいとも思っていますし、実際そうしています。皆さんにもそうあってほしいと思いますし、そういう社会であって欲しいと思います。
でも、同時に、それは義務ではありません。誰も助けてあげないからと言って、それを責める謂れはありません。どんな事情があろうとも、運転者がすべて責任を持つべきものです。ハンドルを握る以上は、事故時にも冷静な判断と対応ができるだけのスキルを、すべてのドライバーは求められています。できないでは済まされないのです。自動車を運転するとは、そう言うことではないでしょうか。
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Posted at 2013/03/08 04:05:16