韓国アシアナ航空機が米サンフランシスコ空港で起こした事故は、「場外戦」の様相を呈してきた。米テレビ局が事故機の操縦士の名前を誤って報じたが、人名とはかけ離れた語句のうえ人種差別的な表現を含むと騒動に発展した。
アシアナ航空はテレビ局に対して訴訟を提起。これに対してインターネット上では、事故の原因究明や被害者への誠意ある対応を優先させるべきだと批判が出ている。
人名なのに「卑語」入れて「くそったれ」の意味に
問題となったのはサンフランシスコ周辺をカバーするローカル局「KTVU」が2013年7月12日に報じた内容だ。米国家運輸安全委員会(NTSB)に確認したとして、事故機の操縦士の氏名を公表。これがとんでもない誤報となった。
機長とされた氏名は「サム・ティン・ウォン(Sum Ting Wong)」。これは英語の「サムシング・ロング(Something wrong)」つまり「何か変だ」を意味するという。ほかにも「低すぎ(Way too low)」をもじって人の名前とした「ウィ・トゥ・ロ(Wi Tu Lo)」や、ひどいのは相手をののしる際に使われる卑語「ファック(fuck)」を組み込んだ「Ho Lee Fuk」、つまり「くそったれ(Holy fuck)」という語句。女性アナウンサーは真剣な声で名前を読み上げており、ふざけたり馬鹿にしたりしている様子はうかがえない。
翌日KTVUは放送中に陳謝。NTSBへの取材時に相手担当者の氏名や役職名を確認せず、聞いたままの内容を流してしまったという。NTSBも「不正確かつ不快な名前」を放送したことを謝罪した。インターン生が権限もないまま勝手に事故機操縦士らの名前としてKTVUに伝えたのが原因との説明だ。