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東証と大証が統合 世界第3位の市場
7月16日 17時45分

東証と大証が統合 世界第3位の市場
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日本取引所グループ傘下の東京証券取引所と大阪証券取引所は16日、株式市場を統合し、上場する企業の数で世界第3位の市場として新たにスタートしました。

東京証券取引所と大阪証券取引所の株式市場が統合されて初めてとなる16日の取り引きは、午前9時から東証で、清田瞭社長ら関係者が見守るなかで始まりました。
今回の統合で、東証側に大証の1部と2部、それに新興市場の「ジャスダック」に単独で上場していた1100社が移行され、合わせて3400社余りの株式が売買されました。
16日の取り引きは、トラブルもなく順調に終了したということです。
また、これまで大証に単独で上場していた銘柄の中には、今回の統合をきっかけに改めて注目され、活発に取り引きが行われたものもあったということです。
今回の統合で東証は国内の取り引きの90%以上を占める株式市場となり、上場する企業の数はアメリカの新興市場の「ナスダック」やロンドン市場を抜いて世界で第3位となりました。
一方、大証は、16日からデリバティブと呼ばれる金融商品を専門に扱う取引所となりました。
日本取引所グループは、システムの一本化で年間およそ70億円のコストを削減し、売買システムの増強などに振り向けることで、投資家や上場企業の利便性の向上につなげたいとしています。
一方、欧米やアジアの取引所の間では投資マネーを獲得するため、経営の規模の拡大を目指して地域を超えた再編成の動きが激しくなっています。
日本取引所グループは、今後、海外の取引所との連携も含め、世界で勝ち残るための戦略をどう打ち出していくかが問われることになります。

株式市場統合の経緯

東証と大証が経営統合を発表したのはおととし11月。
長年、ライバル関係にあった東証と大証の経営統合を後押ししたのは、世界の株式市場のなかで日本市場が地盤沈下していることへの危機感でした。
大証の米田道生社長は「この10年、あまりに日本の株式市場の国際的な地位は大きく低下した。新しい取引所をつくることが国際競争力の強化にとって最善の道だ」バブル経済に日本中が沸いた80年代。
東証は売買代金と上場する企業の時価総額で世界トップに君臨していました。
しかし、バブル崩壊後は取り引きが長期にわたって低迷。
欧米だけでなく、アジアの新興国市場も急速に台頭し、中国・上海の取引所に一時、売買代金で追い抜かれるなど、東京市場から世界の投資マネーが離れていきました。
海外の取引所に競り勝って上場企業や投資家を呼び寄せる。
その起爆剤として東証と大証が発足させたのが「日本取引所グループ」です。
東証と大証は16日、株式市場を統合。
名実ともに一つの市場としてスタートを切りました。

統合のメリットは

東証と大証の株式市場の統合で取り引きが活性化すれば、投資家にとっては売買がしやすくなり、上場企業にとっては資金調達がしやすくなるメリットがありそうです。
また関係するビジネスのコスト削減にもつながります。
これまで東証と大証に重複して上場していた企業は、2つの取引所にそれぞれ会費を納めていましたが、16日からは東証だけで済むことになります。
証券各社も、これまでは東証と大証の双方にシステムをつないで売買を取り次いでいましたが、市場が一本化されたことで、システムにかかる費用を抑えることができます。
さらに、証券会社がシステムにかかる費用を減らすことができれば、その分、投資家から集めている売買手数料を安くできる可能性もあり、今後、手数料の値下げにつながるかどうか注目されます。

企業のメリット

東証と大証が株式市場を統合したことで恩恵を受ける上場企業もあります。
京都市に本社を置く「王将フードサービス」は、関西を中心に600店余りを展開しています。
大証は、株式の上場にかかる費用が東証と比べて大幅に安かったため、これまでは大証に単独で上場していました。
都内をはじめ全国への出店を増やしていることから、資金調達を増やしたり、知名度を高めたりするため、東証への上場について検討を始めましたが、今回の市場統合で東証第1部に上場することになりました。
東証の取り引き規模は大証よりもはるかに大きいため、国内外の投資家から注目されて出来高も増えました。
初日の16日の取り引きで、この会社の株価はことしの最高値を更新しました。
今回は東証に新たに上場するための1900万円の費用を負担しなくて済んだうえ、年間のコストも特例措置として3年間低く抑えられます。
この会社の鈴木和久専務は「日本だけでなく世界の投資家からも注目され、株価や出来高が上がることを期待している。業績を伸ばしてコンプライアンスも徹底し、東証の上場企業として会社経営をしていきたい」と話していました。

海外取引所との競争激化

世界の取引所の間では、投資マネーの獲得や上場企業の誘致を巡る競争に勝ち抜くために、経営の規模の拡大を目指す再編成の動きが激しくなっています。
まず、去年12月、アメリカの新興の取引所の「インターコンチネンタル取引所」が上場企業の時価総額で世界最大のニューヨーク証券取引所を運営する「NYSEユーロネクスト」を買収すると発表。
株式に加え、デリバティブと呼ばれる金融商品の取り引きにも強みを持つ、巨大な取引所グループが誕生することになりました。
また、アジアでは去年9月、シンガポールとマレーシアの取引所がシステムを接続。
双方で上場している企業の株式の売買ができるようにしました。
将来的にはASEAN=東南アジア諸国連合の6か国の取引所のシステムを接続し、それぞれに上場する企業の株式をどの取引所でも売買できるようにする構想です。
世界の取引所が規模の拡大を進めるなかで、東証と大証も株式市場の統合で規模の拡大と効率化を図り、海外の取引所との競争を勝ち抜きたいというねらいがあります。

東証・大証統合専門家は

東証と大証の市場統合について、株式市場の研究が専門の早稲田大学大学院ファイナンス研究科宇野淳教授は「国内で一大証券取引所ができたように見えるが、世界の取引所の間では多様な投資家を呼び込もうという競争はますます激しくなっている」と話しています。
そのうえで、ASEAN=東南アジア諸国連合の6か国の証券取引所が、どの取引所でも株式の売買が可能な市場を創設する取り組みを進めていることを挙げ、「投資家は国境を越えアジアを中心とした新興国の成長に投資をしたいという強いニーズを持っている。東証もASEANの枠組みに参加し、より大きな連合を目指してオーストラリアにも参加を呼びかけるなど、アジア市場をさらに活性化させる積極的な役割を担うべきだ。日本の株式市場が活況な今、東京市場と連携するメリットをアピールできる絶好のチャンスを迎えている」と指摘しています。

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