MK2

MK2さんのプロフィール

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ニックネーム
MK2
自己紹介

 前回までのあらすじ。俺はMK2(中略)7さいの幼女だ。コンビニ店長をやっている。魔法幼女ブロガーだ。だんだんごてごてとした設定になってきた。今日ももみじのようないとけないちっちゃい手がキーボード爆速で叩き意味のないテキストを量産する。

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 今日も俺はバックルームの事務机に向かっていた。もちろん椅子には店長せんようクッション装備である。前々から思っていたのだが、幼女の手にはちょっとマウスが大きい。携帯用の小さいサイズマウスを買うかどうか思案しているところへ、バイト鈴木さんがやってきた。

 鈴木さんは23歳。フリーターではあるが、ほぼ朝から昼にかけての店の中心といってもよい。俺の右腕的な仕事もしてもらっている。俺は業務全般に関して非常に物忘れが多く、かつ事務仕事が壊滅的なため、几帳面で物忘れの少ない鈴木さんはめちゃくちゃ重宝している。

 性格は、非常にめんどくさい。どうめんどくさいかはそのうち登場すると思われる。あとヲタである彼女の前でうたプリの話題を出してはいけない、というのは店の暗黙の了解である。逆に、彼女が元気がないときうたプリの話題を振ればよい。わかりやすいといえばいえる。髪は黒ストレートロング身長は165センチ、かなり細身の体型である。俺はあいかわらず髪型身長しか女の子を紹介しない。

店長ちょっと相談があるんですけど……って、腕組んじゃだめだって言ったじゃないですか」

「俺がどんなかっこしようと勝手だろ……」

「あーっ、一人称俺っていうのもダメだって言いました! MK2仮名)たんで!」

「おまえが俺をなににしたいのかわからない」

「かわいくしたいだけです」

 どうやら幼女に過剰な幻想を抱いているフシがある。

「って、そうじゃなくって。相談でした」

はい

夏休みの入口でイベントやりたいんですよ」

「ほー」

最初の土日でイベントやって、それをおでんの拡販につなげるっていうアイディア、あるんです」

「どんな?」

「……秘密です」

 なぜ赤面する。卑猥イベントでもやるつもりか。

「いや、そこ赤面して言うところじゃねえだろ。仕事だぞ」

「そうなんですけど……」

 と言いつつ、計画を説明してくれた。

 夏休み最初の土日で、縁日的なイベントを開催。幼児用のプールを借りられるあてがあるので、それでヨーヨー釣り。照明もけっこう派手に。店頭で揚げ物を売り込みつつ、店内で750円以上お買い上げのお客様には福引をしてもらう。景品は、一等だけは客寄せでそこそこのもの、ハズレ券は、おでんセール時に、10個お買い上げごとに好きなものをもらえるプレゼント券。

「よくできてる、と思う」

「けっこうがんばって考えました」

「で、どこに赤面する要素があったんだ?」

「……内緒、です」

 こいつひょっとして思わせぶりなことをしたいだけなのではないか

 計画に遺漏はなさそうだ。もうちょっと詳しいプランを立てさせてから、ある程度の予算を与えて実行させることにした。

 幼女の体になってから数日が経過するが、あんがい仕事はどうにかなるものである。考えてみれば、すでに権限の移譲はだいぶ進んでいて、相当なところで、俺は「考える」ことが仕事になっている。別に幼女化することを見越していたわけではないが、こうなると、以前から進めていた「自分現場を離れる」ということはムダではなかったのだと逆に思えてくる。

「ところで、ねこみみ買ってきたんですけど、つけてもらえませんか?」

「大却下

 42歳のおっさん自我崩壊させる気かおまえは。

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 さて、当日がやってきた。

 俺はシフトではなかったが、ぜひ来てくれとの鈴木さんの説得により、顔を出すだけは出すことにしていた。店に着いてみると、イベント運営のバイトは全員浴衣姿だった。そういえば、詳細なプランのなかにそういうのも入っていた気がする。

 まあイベントイベントなんで、ふだんと違う空気を演出したほうが盛り上がるのは確かだろう。

 店頭には白熱電球がいくつもぶら下がっており、店外で売るための揚げ物の機械ライトアップされている。事前告知のPOPは俺が書いた。近隣の印刷屋に頼んで、A0サイズポスターにしてもらった。それ相応の出費ではあったが、単に告知になるのみならず、店頭雰囲気自体を演出することができたので、出費分の効果はすでにあったようにも思う。

 人出はまずまず。少なくともふだん来ない客層がかなり来ていることはまちがいない。家族連れの姿も目立つ。

 ここまでのところ、問題はないようだ。

「いい感じじゃん」

「あ、店長

 鈴木さんが俺を認めて近寄ってきた。薄紫色浴衣を着ている。

「けっこうがんばりました。お祭りっぽくなってますよね?」

「なってるなってる。福引はどれくらい?」

「そですね。ふだんより客単価はまちがいなく高いです。750円ってちょっと露骨かなーと思ったんですけど、あんまりそのへん気にする人もいないみたいで。揚げ物も売りやすいですね。あと一品で福引できますよって声かけたら、かなり買ってくれます

「ま、それ狙えたから許可出したんだけどな」

「それで店長、お休みのところ申し訳ないんですけど、ちょっとお願いが……」

 俺はここで気づくべきだった。いや、ふだんの俺なら気づいていただろう。俺は、場の空気を読むのは極端に苦手だが、そのぶん人の気配や表情はふつう人間以上に見ている自負がある。このとき、それに気づかなかったのは、シフトではなくプライベートのつもりで来たということ、なによりバイトががんばっている現場を前にして、気が緩んでいたからに違いない。

 鈴木さんの表情には、どこか暗い喜びがまぎれていた。

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「こっちです」

 鈴木さんに店外に連れだされた。

 どうも倉庫のほうに行くようだ。うちの店は狭い。備品を置く場所にも限界があるため、最初から別棟の倉庫がある。倉庫シャッターをがらがらと開くと、

「この中へ」

「お、おう……」

 シャッターが閉められた。夏のこととて、いくら夜でも閉めきるとかなり暑い。頼りない裸電球の照明だけが光源である

 鈴木さんは、シャッターを背に、にこっと笑った。笑顔なのになんか怖い。

店長……」

「な、なんすか……」

「私ぃ、店長用の衣装も、ちゃんと用意したんです」

「計画書のなかにそんなんあった?」

「ふふ。だって、書いたら店長、着てくれないですもん……」

ちょっと待て。おまえいったいなにを用意した」

「……内緒、です♪」

 内緒もなにもねえだろ!! ここまで来てそんな異様な空気まとって!!

「じゃあ、ちゃぁんと着てくださいね

 鈴木さんは、そう言うなり、素早い身のこなしでシャッターを開けて外に出た。俺の見ている前でシャッターは閉まった。対応できなかったのは、まさかそんなことをするとは思っていなかったからだ。

「そこの奥の棚板の上に置いてありますから。着るまで、出られませんよぉ……」

 こいつ、計画犯だ!

 俺は焦った。

 焦ったが……もはやしかたあるまい。どうせフリフリ成分の多いコスチュームとか、いかにも幼女然とした服装なのだろう。たいていの恥辱なら受け入れてやる。それでバイトが満足して働くならそれでいい。どうせもともとバイトの犬扱いだった俺だ。いまさら恐れるものなどなにもない。

 俺はファンシーな袋を開いた。

 カッ。

 中から閃光があふれたような気がした。そこには、想像を越えるブツが収まっていた。

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「……開けろ」

「着てないと開かないですよぉ」

「着たんだよ。だから開けろと言ってる」

 ガラガラガラガラ

 音をたててシャッターが開く。浴衣のよく似合う23歳の女子がそこにいた。俺を見た瞬間、その表情が歓喜に緩み、俺に抱きついてきた。

「きゃーーーーかわいーーーー」

「離れれ」

だってだってー!」

 俺が着ていたのは水着だった。しかビキニ

 ぺったんこ幼女ビキニ

 そう、かつての俺は、こういうもの大好物だった。エロゲの海イベントでまんまるなおっぱいビキニからはみ出すのを眺めるために思っていた。そうじゃない。ビキニはぺったんこのおっぱいにこそ似合う。ないものを覆う、このことにより強調されるぺったんこさ。無であり、かつ充実している。宇宙の真理である

 しかしなぜだろう。俺自身がいまそれを着用しているというのに、ここにはカケラほどの喜びもない。

 あるとすればただひとつ

 虚無感。

 俺は興奮した鈴木さんに肩を捕まれ、かわいいかわいい言われながらがくがくと体を揺すられていた。

 ああ。俺の人生運命に弄ばれたのだ。そう痛感せざるを得なかった。

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 そこから先は予定調和だった。ヨーヨー釣りのため、という触れ込みで用意されていた子供プールに俺は放り込まれた。色とりどりのヨーヨーの中心に、ピンク色のフリルのついたビキニを着た俺がいる。客観的に見ればそりゃかわいい光景だろう。俺だって道すがらにこんなものを見かけたら駆け寄って視姦するさ。しかし俺は当事者なのだ。俺だけはその光景を見ることができない。見れたところでなんだというのだ。それは俺自身なのだ。いくらかわいかろうとなんだろうと、自分なのだ

「ぱちゃぱちゃしてみてくださーい」

 ご命令だ。

 俺は憮然とした表情で水をぱちゃぱちゃと跳ねあげてみた。

プールの縁にもたれかかってみてくださーい」

 わかってるよ。それでお尻をちょっと浮かせて水面から出せばいいんだろ。わかってんだよ。

 きゃーかわいーの声とともに写メを撮るバイトたち。こいつら仕事してねえ……。あとプールの縁に「てんちょうせんよう」って書いたやつだれだ。まじで許さねえ。

 そう、予定調和といえば、つまりこういうことだ。

 周囲は、いつのまにやら家族連れなんぞよりも大きなおともだちのほうが増えつつあった。

「当店で1000円以上お買い上げのお客さまに限り、店長さんの撮影ができますよぉ」

 次から次へと店内に入るおともだち。出てくるときには、いちばん大きいサイズレジ袋いっぱいの買い物をしている。確かに鈴木さんは売上のことは考えているようだ。しかしなぜだろう、俺の頭のなかは「育てかたをまちがった」という思いでいっぱいだった。そもそもこいつがこういう提案をしているのは、あとで「売上に貢献している」という免罪符を作るためなのではないか

 次から次へとストロボの眩しい光を浴びつつ俺は思った。

 もう、だれも信じられない。

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 その日、当店は、オープン以来の最高売上の記録を20万も更新した。少なくとも、俺が予算として提示した金額は、まちがいなく回収した。福引のハズレ券であるところのおでんプレゼント券を持った人々は、まちがいなくセールときにやってくるだろう。

 なにも悪いことはなかった。

 俺の自尊心が7割方削られたこと以外は。

 家に帰ると、うちの奥さまが俺を見て言った。

「なんか魂抜かれたみたいな顔してんだけど」

「はは。なにもなかったよ。なにも……」

 もう俺の心の潤いはインターネットしかない。俺はいつもどおりPCを起動した。tumblrツイッターと巡回し、はてなトップページを開いた。そこにあったのは、

コンビニにて、幼女店長の水あそびを発見トゥギャッター

 ホッテントリだ。もういい。この流れはわかってた。二度目だし。

 画面を開いた。そこには俺の画像があった。笑顔で水を跳ねあげてはいるが、瞳にはハイライトがなかった。そうか。人間リアルレイプ目するんだな、と俺は思った。

 その夜俺は、もう10年以上飲んだことのない酒をあおった。俺は年齢確認に引っかかるのだろうか。そんなどうでもいいことを考えながら、ひとりで泣いた。

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 というわけで、夏も本番です。みなさまいろいろ忙しいとは思いますが、がんばって夏を乗り切って、最大の売上をたたき出しましょう。俺もがんばっています仕事に、ブログ更新にと充実した毎日です。充実した……毎日です……。