サイト内検索:
 


トレイボン・マーティン事件で 揺れる米社会
 今年2月26日夜に、ディズニーワールドからそれほ遠くないフロリダ州オーランドの郊外にあるサンフォードの住宅地で、黒人高校生トレイボン・マーティン君(16歳)が、地元自警団のメンバーで、常時ピストルを携帯しているラティーノのジョージ・ジンマーマン氏(28歳)に射殺された事件が全米を揺るがす 大事件に発展しています。警察当局は当初、法に基づく正当防衛を主張する加害者の言い分を認めて、逮捕を見送り、身柄も拘束もしませんでした。しかし、 「殺人を犯しながらまともな取り調べもなく、加害者が自由の身のままというのは納得できない」とする被害者の両親の訴えを受けて、黒人市民団体や公民権グループなどが、風貌だけで人間を判断する人種差別に起因するヘイト・クライム(人種憎悪犯罪)だとして全米各地で抗議運動を展開した結果、1か月が経過し た3月下旬になって初めて、新聞やテレビが大々的な報道を始めたことで事件が全米規模で話題となり、オバマ大統領が「自分に男の子がいたら、トレイボンの ような顔つきだっただろう」と述べて、事件の徹底的な真相究明を求める姿勢を明らかにしたこともあって、大ニュースとなりました。そしてフロリダ州司法当 局が任命した特別検察官が4月11日に、正当防衛ではなく、計画性の薄いものの、殺人事件であるとの判断から、「第2級殺人罪」容疑で起訴、最終的な判断 は司法の場に委ねられることになりました。しかしこの事件を契機に、法的な正当防衛の範囲をめぐる法律論や人種差別問題としての局面、さらには銃規制問題 などに加えて、事件現場がゲーテッドコミュニティ内で発生したことで、事件の背景にはアメリカ社会での人種や貧富の差などによる「棲み分け」状況を象徴す る「ゲーテッド・コミュニティのまん延」という社会現象があるとする指摘もあって、さまざまな議論が展開されています。

 加害者のジンマー マンは、正当防衛の適用範囲を大幅に拡大した同州の法「Stand-Your-Ground」法(「当然その場にいる権利のある人物が身に危険があると信 じた場合には、銃を発射する以前にその場を退く必要はない」とする法律、2005年施行)をタテに正当防衛だとの主張を繰り返しています。同法は、合衆国 憲法補正第2条で保障された「武器を所有し、携帯する権利」を文字通り履行することを主張するアメリカ最大・最強の圧力団体NRA(全米ライフル協会)が 積極的に推進し、まず2005年にフロリダ州で制定され、現在では全米50州の約半分の州でほぼ同様の法律が施行されています。

 アメリカ では正当防衛の範囲については、日本と比べて幅広い解釈が適用されていて、正当防衛の構成要素に「Castle Doctrine」という考え方があります。自分の住まいを「お城」とみなして、その領域に侵入しようとする者がいれば、それを防ぐために「死に至るよう な武力を行使することが正当化される」というもので、ルイジアナ州バトンルージュに留学中だった日本の高校生服部剛丈君(当時16歳)が1992年11月、出掛けたハロウィン・パーティーの家を間違えて、別の住宅のドア口で家主に射殺されるという悲劇的な事件が、裁判で加害者の家主が無罪になるという結 末になったのも、この考え方が背景にあります。「Stand-Your-Ground」法は、正当防衛の範囲を「自分のお城」から「自分の縄張り」へと拡大したものといえます。
ジンマーマンにとっては、自宅が「当然その場にいる権利がある」ゲーテッドコミュニティ内にあり、しかも同コミュ ニティ自警団のメンバーで、常時銃器を携帯しているようなタイプの人間であることからすれば、このような事件が起こるべくして起こったとも 言えます。ジンマーマンはマーティンに遭遇して、「怪しい風体のティーンエージャーがいる」と911番通報し、警察が対応するので「後を追わないように」 という指示にもかかわらず追跡を続け、最終的には格闘の末マーティンを殺害するわけですが、その一部始終を目撃して現場の状況を再現できる目撃者はおら ず、被害者が「死人に口なし」という状況では、この法律が加害者に有利に働くのは当然でしょう。

 ロサンゼルス・タイムズ紙が伝えるところでは、「銃による 暴力を阻止するフロリダ州連合組織」の調べによると、この法律が施行されて以来、目撃者がいないこの種の殺人事件が同州では少なくとも18件あるが、その いずれもが同法に基づき加害者は犯罪に問われず放免となったというのも、その?威力?のほどを示すものです。また同州政府の公式記録でも、加害者が一般人 で正当防衛と判断された殺人事件が急増しており、同法施行前の2004年にはわずか8件だったものが、2010年には40件に達したとのこと。さらに FBI(連邦捜査局)統計も、正当防衛の殺人事件は2005年に全米で196件だったが、2010年には278件に増えたとしています。フロリダ州の司法 当局が、事件に犯罪性があり、起訴することが妥当かどうかの判断を大陪審ではなく、特別検察官に委ねたのは、一般市民で構成する大陪審の場合、同法を重視 して不起訴という判断を下す可能性があったからだとみられています。

 ジェシー・ジャクソン師やアル・シャープトン師といった黒人指導者を 先頭とする公民権団体や黒人組織などは、「頭部を覆うフッドを被った黒人の若者だから怪しいという人種差別的な先入観から加害者がマーチンを殺害した悪質な殺人事件だ」としてジンマーマンの逮捕・起訴を求めて、地元のサンフォードだけでなく全米各地で大規模なデモを展開しており、またマーティンの両親も、息子のために、とにかく公正な裁判をすることを求めていたことから、不起訴となった場合の大きな世論の反発を回避するために、刑事事件ではタカ派として知られるベテランの特別検察官を任命したものです。その結果は司法当局の期待通り、第2級殺人罪で起訴の運びとなったものとみられます。加害者の主張する正当防衛を構成する要件が満たされているのかが焦点ですが、地元紙オーランド・センティネルは、フロリダ州でのこの種の裁判では、実際に公判が始まる以前に司法取引が成立するケースが大部分だと報じています。公判となれば、白人の元妻とその友人を殺害した容疑で起訴となったO・J・シンプソンの裁判に匹敵す るセンセーショナルな裁判になるのではないかとみられています。

 今回の事件では、正当防衛の範囲、銃による暴力行為、人種問題、警察の捜査体制などさまざまな問題が提起されていますが、事件と直接関係はないものの、事件がゲーテッドコミュニティ内で発生したことの重要性を指摘する向きもあ ります。それについては、次回のコラムで取り上げることにします。

iPhone,
BlackBerry,
でも検索可能

名前検索(英のみ)
By Name
カテゴリ・キーワード検索(英・日対応)
By Category/Keyword


例:車(auto)、銀行(bank)、美容(Beauty)、本屋(Book Store)
〜今日のお食事〜
07月15日
ファーマーボーイズ
$3、99
Farmerboys
詳しくはこちら
ジャージャー麺 Jidaiya
生春巻き PHO Tasty
ミスト Settebello Pizzeria Napoletana
一覧へ
 

クラシファイド週末お出かけ情報HELP!! 法律相談サッカー
会社概要お問い合わせプライバシーポリシー利用規約広告掲載について

Copyright (C) 2013 Bridge USA All Rights Reserved.