警備員らともめる阪神ファン。奥は巨人ファン=甲子園球場(撮影・岡田亮二)【拡大】
必勝を期したマウンドでエースがうつむいた。ライバル巨人に1・5ゲーム差に迫って迎えた一戦の先発を任された能見が、一回にまさかの3失点だ。
「全力でぶつかるだけです」と短い言葉に力を込めて臨んだが、一回一死から寺内、坂本に連続四球。4番・阿部は空振り三振に斬ったが、長野にまたも四球を与えた。続く村田に走者一掃の3点二塁打を許した。
試合前まで、巨人に対しては4戦で2勝1敗、防御率1・97だった。オールスター前の奪首へ向け、和田監督が満を持して送り出した左腕だったが、序盤のフラつきが、後々まで響いた。
五回二死からは、阿部に右中間スタンドに飛び込む23号ソロを被弾した。このボールが95球目。リーグトップの5完投を挙げてきた男にしては、序盤に要した球数も多すぎた。
結局、6回6安打5失点で降板。5、6月に2カ月連続で月間MVPに輝いた左腕が、どうしても取りたかった一戦で、巨人打線に飲み込まれた。