茨城・10歳女児重体事件 母親「容体は本当に危険な状況」
14日、茨城・龍ケ崎市内で10歳の女の子が見知らぬ男に殴られ、重体となっている事件で、逮捕された男の取り調べが続いている。この犯行について、男は「女の子にいたずらをしようとして殴った」などと話しているという。
見ず知らずの男に顔を殴られるなどして、意識不明の重体となっている小学5年生の女の子の母親は「かなり顔が腫れていて、本人ということが、わからないということですね。容体は、本当に危険な状況です。殴って、顔がわからなくなるまでしてほしくなかったですね」と話した。
事件は、14日午後4時前、茨城・龍ケ崎市の路上で起きた。
小学5年生の女の子は、国道6号線から側道に入った歩道の上で、男に襲われた。
女の子は、あおむけの状態で倒れていたという。
国道側から事件現場を見てみると、生い茂る草で、大人でも姿が見えない状態で、現場の様子は全く確認できない。
通報した男性は「『大丈夫?』と最初、(女の子に)声をかけたんですけど、何も反応がなくて。(どんな状態で横たわっていた?)あおむけだったんですけども、かろうじて息をしているくらいで、もう目は開いていなくて。相当、殴られていた感じでしたね」と話した。
その後、女の子は、ドクターヘリで千葉県内の病院に緊急搬送されたが、脳出血などで、今も意識不明の重体になっている。
女の子は、目から下の骨が、ほとんど折れてしまっているという。
この残忍な犯行に及んだ男は、どんな人物なのか。
傷害の疑いで逮捕されたのは、自称・無職の野口裕美容疑者(30)で、女の子の顔を殴りつけたあと、現場から逃走した。
通報した男性は「通行人の人は、犯人を見ていたらしくて、それを追いかけるって言って、自転車を飛ばして行っちゃって」と話した。
たまたま現場を通りかかった男性が、自転車で、逃走した野口容疑者を追いかけた。
そして、野口容疑者は、現場から500メートルほど離れたボウリング場に逃げ込んでいた。
向かった先は、フロントを通らずに進める、男子トイレの中だった。
ボウリング場の従業員は「奥のトイレです。一番奥のトイレなんですけど。出てこなければ一番いいなと思ったんですが、(野口容疑者がトイレから)出てきちゃったので...」と話した。
トイレから逃げようとした野口容疑者に対し、従業員らは、ごみ箱などを盾にして語りかけたという。
ボウリング場の従業員は「ちょっと(ごみ箱を)盾にしながら、『すみません、待ってもらえますか』と言ったら、素直に従っていただいたんで、警察に引き渡しできるように待っていた感じですね」と話した。
そして5分後、警察官が現場に到着し、野口容疑者は、その場で緊急逮捕された。
野口容疑者は、これまでの調べに対し、「女の子にいたずらしようと、わいせつ目的で複数回殴った。面識はなかった」などと供述しているという。
野口容疑者は、牛久市にある自立支援センターに入所していたということで、警察は、野口容疑者の犯行直前の足取りなどを、さらにくわしく調べている。
14日夜、FNNの取材に応じた被害児童の母親は、「かなり顔が腫れていて、本人ということがわからないということですね。容体は、本当に危険な状況です。(きょうは)たまたま家で遊んでいて、たまたま外に出ちゃったというだけで。(どんなお子さんなんですか?)人なつっこくて、すごく明るい子です。なにも殴って、顔がわからなくなるまでしてほしくなかったですね」と話した。
あまりにも理不尽な今回の事件。
これからの夏休みシーズン、外で遊ぶ機会が増える子どもたちの安全は、どのように守ればいいのか。
NPO(民間非営利団体)法人「体験型安全教育支援機構」の清永奈穂代表理事は「日中、人けのない道は、1人では歩かせないというのは、必要だと思います。後ろからついてくる人、前で待っている人がいた時には、何かおかしいなということを早めに察知することが大事だと思います。何か起きる前に、できれば逃げ込む、声を出す、防犯ブザーを鳴らすなど、練習を今のうちにしておいて、いざという時に、できるようにしておくことが必要だと思います」と話した。
野口容疑者が入所していた施設側は、野口容疑者が、就労支援を受けていたことを明らかにしたうえで、「穏やかで、問題行動などは見られなかった」としている。