ソーセージの中身の具材に、小さくきざんだ赤と黄色のパプリカ、ピーマンをまぜて、薄く切った牛肉でくるくると巻く。東北復興支援を目的とした、「東北6県ロール」福島県の第2弾は、カリスマシェフ・三國清三(59)監修による「あだたら高原酵母牛のロールステーキ」だ。
レシピを考案したのは福島県で食肉の卸問屋を営む大丸屋だ。ロールステーキに使われる「あだたら高原酵母牛」は安達郡大玉村の広大な農場で育つ。エサは、地元産のワラや安達太良山の伏流水、さらにパンの耳やキャベツの表面などコンビニエンスストア向けの食品工場などで使われなかった食材に酵母菌をまぜて熟成、発酵させたものを与えている。
「飼料のコストが安いため、同じ肉質の獣肉に比べ安価で、アクが少なく柔らかいのが特徴です」
大丸屋の常務取締役、鈴木新(39)はこう説明する。
震災後、風評被害で大きな痛手を負った旅館やサービス産業に卸していた食肉の量が激減しただけに、このロールステーキは新たな需要の掘り起こしにつながるのではないかと期待されている。
オテル・ドゥ・ミクニのオーナーシェフ、三國清三は、このロールステーキの話を、友人である「京都吉兆」総料理長の徳岡邦夫から聞き、二つ返事で協力することにした。「ロールにすることで、牛肉の水分を閉じ込めるので、パサつかず、しっとりとした仕上がりになります。いいアイデアだと思います」。今年2月、大丸屋で試作したロールステーキを試食して、「色あい」や「ソース」について助言をした。
「たとえば、野菜を入れるときに、カラフルなモザイクのような色合いにしてはどうか、とアドバイスしました」
それをもとに大丸屋は試作を重ね、福島県内外のイベントなどで継続的に販売してきた。将来は、東北支援を目指す一般社団法人「東の食の会」を通じて商品化し、全国に販売していく予定だ。
「食の不安を取り除くには「安全」を発信していくことが大切ですし、復興を支援するには、消費者が応援することが不可欠ですね」
こう指摘する三國は、東日本大震災直後から、宮城県、岩手県、福島県に足を運び、子どもたちに給食を提供してきた。ほかのシェフたちとともに「子どもたちに笑顔をプロジェクト」を立ち上げ、いわき市の小学校にポタージュスープ、ハンバーグカレーとサラダ、プリンを700食以上提供したこともある。
「子どもたちが喜ぶ姿が印象に残っています。これからも支援に関わっていきたいですね」=敬称略(つづく)
(ライター 斉藤真紀子)
俳優、映画監督の伊勢谷友介が09年に株式会社リバースプロジェクトを設立。東京芸術大学の同級生らとともに、デザインで、社会的に利用価値が低いとされているものに新たな命を吹き込み、よみがえらせる「再生プロジェクト」を展開している。原発事故で見送られた卒業式を飯舘村の子どもたちにプレゼントするなど、社会貢献につながる「元気玉プロジェクト」なども活動している。
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