PROJECT STORY

ベトナムファミリーマート出店プロジェクト

鈴木 雄策

安心安全な食の流通を実現し、ベトナムの発展に貢献したい。

鈴木 雄策
2003年入社
食料カンパニー
ホーチミン事務所(ホーチミン駐在)

伊藤忠にとって重要なグループ会社の1つである「ファミリーマート」。実はグローバル4万店構想を掲げ、すでに国内よりも多い10,458店舗もの海外店舗を展開していることをご存知だろうか。その「ファミリーマート」がベトナムで初めての出店を行うことに。その立ち上げを任された鈴木の目の前には、いくつもの難題が立ちはだかっていた。

若く、魅力的な市場。

「ベトナム国内に日本食を広め、ベトナムの生鮮食品を海外へ輸出する」。そんなミッションを担って鈴木はベトナムの地へと赴いた。もともと日本が好きで、日本と海外を結び付ける仕事がしたいと考えて商社を選んだ鈴木にとって、これ以上ないミッションだった。しかし、実際にベトナムに来てみると、あまりの環境の違いに驚いたと言う。
「何かを流通させるにしても、まず日本のようなスーパーがベトナムにはあまりありません。スーパーが出てきたのもここ数年の話で、最大手でも国内に40店舗程度。家業で商店を営んでいるケースが圧倒的に多いのです。また物流にしてもインフラがあまり発達してないのでモノを運ぶのはバイクが主流なんです」。その他、人の部分でもベトナムの事情は日本のそれとは大きく異なる。たとえば国の平均年齢は約27歳と非常に若い。出生率も都市部では毎年10%近くも伸びている。日本の成長期がそうだったように、人口が増えれば経済がさらに発展していく可能性が高い。つまり、市場としては大きな可能性を秘めた国なのである。こうした中、鈴木のもとにあるプロジェクトの話が舞い込んできた。成長が見込める海外市場への展開を目指すファミリーマートのベトナム進出プロジェクトである。「おもしろそうだけど、環境があまりに違うので果たして本当に可能なのか」、そんな一抹の不安を覚えながらも、鈴木はこのプロジェクトにも参加することになった。

困難、そしてまた困難の連続。

日本と大きく異なる環境、しかもコンビニという概念すらない地での出店は、当然日本のやり方をそのまま持ち込んでもうまくいくはずがない。むしろ物流1つとってもそのまま持ち込むことすらできない状況だった。プロジェクトは、実際に出店する目処が立つのかどうか、そして伊藤忠にとって商社の強みである総合力を活かし、「ファミリーマート」の成長戦略をバックアップすることができるのかどうか調査することからはじまった。「調査と言っても、日本であれば消費統計や企業の売上規模など必要になるデータがすぐに手に入りますが、こっちはそうもいかない。全部イチから調べなくてはならないのです。まず、そこが大変でしたね。それから、出店するにあたっては卸や物流のパートナーも見つけなくてはならなかったのですが、これも大変でした」。最終的にパートナーとして選んだのは、商社兼物流、卸を一手に手がける企業。規模は国内でもトップクラスだが、ネットワークも何もない中、いくつかの企業と会った上で決めた。将来性はもちろん、パートナーとしてともに成功を目指せる企業かどうかが決め手となった。こうして苦労しながら数カ月にわたって調査を行い、様々な議論が交わされた結果、ベトナム市場の成長性に期待して出店が決定したのだった。2009年5月のことだった。しかし、出店が決まったのも束の間。次なる困難は鈴木の頭を大いに悩ませるものだった。

蓋を開けるまでわからない不安。

「出店が決まってからは、いったいどのようなコンセプトでいくべきか、現地のスタッフを交えながら相当議論を重ねましたね。それこそ数え切れないほどのミーティングを行いました」。鈴木が言うように、コンセプトを決めるまでにはおよそ数ヶ月もの期間がかかった。中でも法律をどうクリアするのかが大きな話題となった。「ベトナムは社会主義国であり、特に外資に対する規制が厳しいのです。その中でどう法律をクリアして出店につなげていくか。僕自身、法律の知識はあまりなかったので徹底的に調べ上げましたね。おかげでベトナムの法律には相当詳しくなりましたよ。まだ言えないのですが、お店の方向性は固まってきました。あとは、実際にベトナムの人々にどれだけ受け入れてもらえるかですね」。鈴木はこのプロジェクトを通して数多くの企業や人と会ってきた。コンビニというものが出来るということに関しては、興味を持つ人と否定的な意見を述べる人がちょうど半分ずつくらいだったと言う。「自分たちはいけるとは思っていますが、何せ前例がない挑戦。蓋を開けるまで不安は捨てられないでしょうね。でもコンビニが浸透し、店舗数が増えていけば、ベトナムの社会にとって価値ある貢献ができたと言えるのかもしれません」。しかし、ここで言う価値ある貢献とは一体どのようなものだろうか。

ファミリーマート出店の先にあるもの。

「ベトナムってたしかに若い人が多くて出生率も高いレベルにありますが、一方でインフラが整っていない部分もある。僕が関わる食の観点から言うと、特に子どもには安心安全な食品を食べてほしいのですが、そうした食品を適正温度で運ぶことに限界があると思うのです。その点、ファミリーマートがその課題を解決する存在になるかもしれない。また、日本食に関してもベトナム国内ではまだまだ『高い食材』でしかないんです。でも、ベトナム人の間で日本食はすごく人気があるんです。だからこそ自分たちが仕入れた食品をごく普通の家庭の食卓にのるようにしたいんですよね。その点でもファミリーマートが鍵を握るかもしれません」。鈴木が目指す価値ある貢献とは、食を通じてベトナムの発展に貢献していくことに他ならない。そのための1つの手段としてファミリーマートの存在があるのだ。今はまだベトナムの人々にとって未知なる存在であっても、一度火がつけば比較的出店しやすいのがコンビニという形態の大きなメリットでもある。数年後にはベトナム中の誰もが知っている存在になっていても決しておかしくはないはずだ。そして何よりも鈴木にとって、初めての海外駐在でやって来たベトナムに自分の足跡を残すという何物にも代え難い財産となるのかもしれない。

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