文責  仙波敏郎さんを支える会・東  玲治
                                          文中敬称略         —

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2008年9月29日(水)

第7回 ■ 警察・検察裏金問題小史 ■

標記の☆印は警察裏金問題 ★印は検察裏金問  

昭和59年

☆警察庁最高幹部だった松橋忠光氏が、著書「わが罪は常にわが前にあり」で、警察の裏金作りを告発。衝撃的な告発はしかし、誰にも顧みられなかった。

平成8年
☆警視庁赤坂署で「参考人費用弁償費」関係の書類が流出、架空の名義で支払いが行われていたことが判明。住民訴訟となったが、警視庁は争いを避け「認諾」(不正があったかどうかについては争わず、請求に応じること)を選択、被告・署長らは請求の34万円余を弁償した。
☆同8年には、愛知県警のカラ出張が判明。
☆同年、元・長崎県警、大宅武彦氏が捜査費不正やカラ出張を告発。同10年、元・☆熊本県警大矢野署長、佐伯秀雄氏が同じく不正経理問題を告発。
平成10年
★法務省は、情報公開法の施行ニ備え、検察調活費(調査活動費)の「正常化」を指示。同年約6億円あった調活費はH11年度3億2000万円、H12年度2億2500万円、H13年度1億5800万円、H14年度7800万円に激減。
平成11年
★「正義を求める検察組織の一員」名の調活費流用問題を告発する文書が出回る。
☆警視庁銃器対策課の捜査費支出書類が流出。実在の人物の名前が勝手に使われ、領収書偽造が行われていたことが判明し、名前を使われた都民2人が「氏名権訴訟」を起こす。警視庁は一審では勝訴したが、平成15年3月に高裁で敗訴、上告したものの、受理されず、同16年1月20日に判決が確定。東京都は名前を使われた都民2人に各12万円を支払った。この判決確定が契機となり、警察庁は同年3月11日付けで「仮名使用(実在の人物名で領収書を作成すること)を禁じる」との通達を出す。
☆平成12年、宮城県警でカラ出張、カラ会議疑惑噴出。

平成12年

☆不祥事続発で、「警察刷新会議」が「警察改革」を緊急提言。
平成13年
情報公開法(行政機関の保有する情報の公開に関する法律)施行
☆元・警視庁会計課職員の大内顕氏が警視庁機動隊のカラ出張による裏金作りを告発。翌年、「警視庁ウラ金担当」を出版。
★元・大阪高検公安部長の三井環は懇意な高松の情報誌に情報を流し、匿名で調活費問題を告発。「噂の真相」がやはり三井の情報を基に、調活費不正流用問題を掲載。元・検察事務官などの内部告発が相次ぐ。前記情報誌が、相次いで特定検察幹部を最高検に刑事告発したが不起訴処分となる。
★平成14年2月、テレビ朝日に出演、調活費問題を実名告発しようとした三井は直前に暴力団との癒着を理由に大阪地検特捜部に逮捕され、懲戒免職処分となる。
★三井逮捕について「事実無根」との森山法相(当時)のコメントに反発した元・仙台地検副検事、高橋徳弘は事務官時代の体験に基づき、調活費流用の実態を雑誌を通じて内務告発。調活費訴訟を提起した仙台市民オンブズマンの要請で法廷でも証言し、仙台高裁は「不正流用されたことが強く疑われる」との判断を示す。
☆平成14年、香川県警で捜査費不正経理発覚。
☆同15年、高知県警の捜査費不正経理問題で、市民オンブズマンが関係者を告発。
平成15年
☆高知県警捜査一課の捜査費支出書類が流出。国費捜査費の虚偽請求発覚。市民オンブズマンが告発。2年後、不起訴処分に。
☆北海道警・旭川中央署の捜査費支出書類が流出、不正経理が発覚。
平成16年
☆北海道警の元・最高幹部、原田宏二氏が不正経理を内部告発。部下で不正経理を担当していた元・弟子屈署次長、斉藤邦雄氏が実態を告発。不正経理問題が脚光を浴びる。北海道新聞は一連の裏金問題報道で平成16年度の日本新聞協会賞を受賞。
☆静岡県警でカラ出張発覚。
☆元・福岡県警銃器対策課庶務係が捜査費不正経理を告発。
☆岐阜県警で架空の捜査協力者問題が発覚。
☆宮城県警でも捜査費、旅費(カラ出張)の不正疑惑。
☆鳥取県警で印鑑の一括保管問題が発覚。
☆青森県警でも捜査費不正経理問題発覚。
☆元・愛媛県警大洲署会計課長が捜査費の不正経理(実在の人物の名前を勝手に使い領収書を偽造、飲食店のゴム印を警察が偽造、使用)を匿名で告発。
☆京都府警で印鑑の一括保管問題。広島県警で捜査費不正経理発覚。
平成17年
☆愛媛県警地域課鉄道警察隊の仙波敏郎巡査部長が現職警察官として始めて不正経理問題を告発する。翌18年、県人事委員会は告発直後の配転を違法として、取り消し裁決。同19年9月、配転の不当性などを争った国家賠償法に基づく損害賠償訴訟で松山地裁は仙波さんの主張をほぼ全面的に認め、県に100万円の支払いを命じる判決。県側が控訴紙、高松高裁は同20年9月判決予定
平成18年
公益通報者保護法施行(法制化はH16年)
☆平成20年、北海道警釧路方面本部鉄道警察隊の「裏金出納帳」が見つかる。
☆同年、元・埼玉県警察学校長、田中三郎氏が警察学校に2200万円のプール金があったこと、125〜29万円の利子の使途が不明であること、プール金が解約されおよそ1000万円が使途不明となっていることなどを告発。
☆元・北海道警幹部、佐々木友善氏が、北海道新聞を名誉毀損で訴えた裁判で、北海道新聞が訴訟を取り下げさせるために佐々木氏に顧問就任などの利益誘導を図る裏工作を行っていたことを暴露。
平成20年
★起訴された三井は「口封じのための逮捕だ」と主張して争ったが、大阪地裁はH17年、三井に懲役1年8ヶ月の実刑判決を言い渡し、大阪高裁は同19年、控訴を棄却、最高裁も同20年8月、三井の上告を棄却、実刑が確定。大阪高裁はしかし、判決中で「三井の体験した限りにおいて不正はあったと推認できる」とした。

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