【緊迫北東アジア 列国の軍事力】日本の自衛隊、資質や士気高いが深刻な問題も
2013.07.14
.★(5)
日本を守る自衛隊の総数は約23万人。これは多いのか、少ないのか-。
同盟国・米国の総兵力は157万人、最大脅威である中国は229万人、北朝鮮は120万人。韓国も66万人の兵力を抱えている。比較すると、自衛隊の戦力がいかに少ないかが分かる。
では、日本の防衛力(=軍事力)を2つの数字を使って解き明かしてみよう。
まず、「GDP(国内総生産)に対する軍事費の割合」だが、日本の防衛予算は、年間約4兆7000億円で、絶対額では世界第7位になる。ところが、これだけでは真の軍事力を推し量ることはできない。軍事費は一般的に、その国の経済力に見合った額が拠出されており、先進諸国ではGDPの約2・5%〜3%が常識となっている。
ところが、日本の防衛費はGDPのわずか1%でしかない。つまり各国の半分以下である。
次に「総人口に対する軍人の比率」だが、先進諸国では、国民約250人に1人が軍人というのが標準だ。つまり1人の軍人が250人の国民を守っている。一方、日本では、自衛官は国民540人に1人であり、これまた各国の半分以下だ。
これを補うのが「在日米軍」の戦力ということになる。圧倒的戦力を誇る在日米軍の存在そのものが、日本の防衛力を補い、日本の抑止力の一部となっていたのである。
もっとも、自衛隊が世界に誇るべきものがある。それは自衛官の資質と士気だ。彼らは、軍隊・軍人を蔑(さげす)んできたこの国で、その尊い命をかけて国民の生命と国土を守らんと志願してきた若者たちである。
日本国憲法第9条には「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」と明記されている。ところが日本には、ハイテク戦闘機やハイテク戦闘艦艇、それに23万人を擁する自衛隊があるではないか。自衛隊は誰がどう見ても軍隊以外の何ものでもない。
この武力組織が“軍隊”に見えない人がいるならば、その感覚は一般常識から大きくずれている。それでも、「自衛隊は軍隊ではない」と言い張るこの国はどこかおかしい。アンデルセン童話の「裸の王様」を地でゆく話である。
もとより自国民の生命・財産、そして国土を守る軍隊を保有することは世界の常識であり、軍隊の保有そのものが、これまで国際法上禁じられたことなど一度もない。つまり、国民の生命・財産、国土を守るべき軍隊の保有を否定した憲法9条がおかしいと考えるべきなのだ。
ところが、これまでの日本国政府は、憲法9条を不磨の大典のごとく扱い、軍隊を“自衛隊”と言い換えて、合法性のみを追求してきた。だが最終目的は憲法を守ることではなく、国民の生命と国土を守ることである。
そのためにこそ、行動に理不尽な法的制限の課せられた自衛隊を、いかなる脅威にも柔軟に対応し得る、世界標準の「軍隊」に改編すべきなのである。 =おわり
■井上和彦(いのうえ・かずひこ) 軍事ジャーナリスト。1963年、滋賀県生まれ。法政大学卒。軍事・安全保障・外交問題などをテーマに、テレビ番組のキャスターやコメンテーターを務める。航空自衛隊幹部学校講師、東北大学大学院・非常勤講師。著書に「国防の真実-こんなに強い自衛隊」(双葉社)、「東日本大震災秘録-自衛隊かく闘えり」(同)、「尖閣武力衝突-日中もし戦わば」(飛鳥新社)など。
日本を守る自衛隊の総数は約23万人。これは多いのか、少ないのか-。
同盟国・米国の総兵力は157万人、最大脅威である中国は229万人、北朝鮮は120万人。韓国も66万人の兵力を抱えている。比較すると、自衛隊の戦力がいかに少ないかが分かる。
では、日本の防衛力(=軍事力)を2つの数字を使って解き明かしてみよう。
まず、「GDP(国内総生産)に対する軍事費の割合」だが、日本の防衛予算は、年間約4兆7000億円で、絶対額では世界第7位になる。ところが、これだけでは真の軍事力を推し量ることはできない。軍事費は一般的に、その国の経済力に見合った額が拠出されており、先進諸国ではGDPの約2・5%〜3%が常識となっている。
ところが、日本の防衛費はGDPのわずか1%でしかない。つまり各国の半分以下である。
次に「総人口に対する軍人の比率」だが、先進諸国では、国民約250人に1人が軍人というのが標準だ。つまり1人の軍人が250人の国民を守っている。一方、日本では、自衛官は国民540人に1人であり、これまた各国の半分以下だ。
これを補うのが「在日米軍」の戦力ということになる。圧倒的戦力を誇る在日米軍の存在そのものが、日本の防衛力を補い、日本の抑止力の一部となっていたのである。
もっとも、自衛隊が世界に誇るべきものがある。それは自衛官の資質と士気だ。彼らは、軍隊・軍人を蔑(さげす)んできたこの国で、その尊い命をかけて国民の生命と国土を守らんと志願してきた若者たちである。
日本国憲法第9条には「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」と明記されている。ところが日本には、ハイテク戦闘機やハイテク戦闘艦艇、それに23万人を擁する自衛隊があるではないか。自衛隊は誰がどう見ても軍隊以外の何ものでもない。
この武力組織が“軍隊”に見えない人がいるならば、その感覚は一般常識から大きくずれている。それでも、「自衛隊は軍隊ではない」と言い張るこの国はどこかおかしい。アンデルセン童話の「裸の王様」を地でゆく話である。
もとより自国民の生命・財産、そして国土を守る軍隊を保有することは世界の常識であり、軍隊の保有そのものが、これまで国際法上禁じられたことなど一度もない。つまり、国民の生命・財産、国土を守るべき軍隊の保有を否定した憲法9条がおかしいと考えるべきなのだ。
ところが、これまでの日本国政府は、憲法9条を不磨の大典のごとく扱い、軍隊を“自衛隊”と言い換えて、合法性のみを追求してきた。だが最終目的は憲法を守ることではなく、国民の生命と国土を守ることである。
そのためにこそ、行動に理不尽な法的制限の課せられた自衛隊を、いかなる脅威にも柔軟に対応し得る、世界標準の「軍隊」に改編すべきなのである。 =おわり
■井上和彦(いのうえ・かずひこ) 軍事ジャーナリスト。1963年、滋賀県生まれ。法政大学卒。軍事・安全保障・外交問題などをテーマに、テレビ番組のキャスターやコメンテーターを務める。航空自衛隊幹部学校講師、東北大学大学院・非常勤講師。著書に「国防の真実-こんなに強い自衛隊」(双葉社)、「東日本大震災秘録-自衛隊かく闘えり」(同)、「尖閣武力衝突-日中もし戦わば」(飛鳥新社)など。
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